新たな“空気中から数分で飲料水作る方法”発見、従来技術の課題を超音波で解決

2025/11/22 07:35 Written by Narinari.com編集部

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空気中から飲料水を作り出す方法が見つかった。マサチューセッツ工科大学(MIT)のエンジニアが開発した技術で、大気中の水分を数分で清潔な飲用水に変換、淡水や海水源が存在しない干ばつ地域や遠隔地に住む人々の水へのアクセスを変革する可能性が期待されている。

大気に存在する水の回収自体は目新しい技術ではなく、スポンジ状の「吸着剤」材料による空気から少量の湿度の吸収が実用化されている。しかし、集めた水を放出する工程が常にボトルネックとなっていて、特に、低コストな熱源として太陽熱の利用が試みられてきたものの、その加熱・冷却速度の遅さや不安定性が課題となっていた。

今回の研究を指導したスヴェトラナ・ボリスキナ博士は研究誌ネイチャー・コミュニケーションズにこう記している。

「水を非常に効率的に捕集する材料は、その水を離そうとしません」
「材料から水を抽出するには、膨大なエネルギーと貴重な時間を費やす必要がある」

そしてMITの研究チームによる解決策は、高周波超音波アクチュエーターで水分を振動させて解放する技術で、筆頭著者イクラ・シュボ氏はこう説明する。

「超音波でこれらの結合を精密に切断できます。水分子が波と踊るようなものです」

実験では、この装置が完全に飽和した吸着剤サンプルを数分で乾燥、太陽光駆動システムよりも最大45倍高速の結果となった。さらに同システムは小型太陽電池で駆動可能、材料の飽和状態を検知し振動サイクルを自動起動する。

この技術を用いて、家庭用またはコミュニティ規模の装置(窓パネル程度の大きさ)に高速吸収吸着剤を組み合わせ、一日を通して迅速なサイクルを繰り返すことで、大量の飲料水を生成できる仕組みだ。

ボリスキナ博士はこう話す。

「特に淡水が全く存在しない地域において、人々は大気から水を採取する方法を模索してきました」
「そして現在、迅速かつ効率的に水を回収する方法を手にしたのです」

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