差別や偏見に音楽で立ち向かった26人の子供たち

2018/11/29 11:05 Written by Narinari.com編集部

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ヤマハは11月29日、差別や偏見に音楽で立ち向かったコロンビアの子どもたち26人の軌跡を描いたドキュメンタリーフィルム「I'm a HERO Program」を公開した。

同社は今年3月31日から9月30日まで、音楽を演奏する楽しさを知った子どもたちが、大きなチャレンジを経て、子どもたち自らの力で“見えない壁”に立ち向かうヒーローとなる「I'm a HERO Program」を、コロンビア共和国(以下、コロンビア)で実施。コロンビア・メデジン市で暮らす子どもたちが努力を重ね、サッカースタジアムという憧れの舞台に立ち、大観衆が見守る中、見事にコロンビア国歌の演奏を成功させた。

今回プログラムに参加したのは、スラム地域に暮らす7歳から13歳までの男女26人。楽器未経験の子どもたちや、リコーダーしか演奏経験がない彼らに、これまで手にしたことのない管楽器「Venova」が手渡されるところからプログラムは始まった。「Venova」は、リコーダーのような指使いで演奏できる親しみやすさを持つ一方で、本格的な吹奏感を持つリード楽器。子どもたちはその演奏技術の習得とコロンビア国歌の練習に熱心に取り組んだ。

約半年にわたった練習は、スラム街で暮らす彼らにとって容易なものではなく、練習を毎日行うことやリハーサルのために市内へ移動することさえ物理的な障壁や大きな苦労が伴ったという。しかし、子どもたちをはじめ、その家族が互いを優しく、時には厳しさをもって支え合い続け、彼らはヒーローとなる舞台へ上がった。

9月30日、コロンビア国内一部リーグの一節。スタジアムのスクリーンに彼らの歩みを紹介するフィルムが映し出されたあと、26人のヒーローの名前が一人ずつアナウンスされ、子どもたちはサッカークラブ「アトレティコ・ナシオナル」の選手とともにフィールドへと入場し、大観衆の前へ歩を進めた。

同国では極めて高い人気を誇るサッカー。特に「アトレティコ・ナシオナル」は、過去に16度の国内リーグ優勝経験を持つ、メデジン市が本拠地の強豪サッカークラブで、子どもたちにとって選手は憧れの存在だ。

演奏を終えたあとは、誇らしく前を見据えた彼ら。子どもたちの努力が「見えない壁」を超え、彼らが「ヒーロー」の象徴になった瞬間となった。



☆コロンビアを舞台に選んだ理由

今回の舞台となったコロンビアが位置する中南米では、貧困撲滅や非行防止など、社会課題を音楽の力で解決するさまざまな活動が進められており、ヤマハもその支援や活動に携わってきた。例えばベネズエラでは「エル・システマ」と呼ばれる音楽教育プロジェクトが政府によって推進され、非行防止・貧困撲滅のために国策として行われている。これに賛同したヤマハは、楽器メンテナンス方法の普及や、修理技術者育成を通じて15年にわたって協力を続けていた。

また、中南米におけるヤマハの主要パートナーによる財団「Fundacion Incolmotos Yamaha」が運営する「ToKANDO」という奨学プログラムも生まれ、今回の「I'm a HERO Program」は、その奨学プログラム参加者を中心に実施された。


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