宇宙船内を漂う“うんこ事件”、1969年「アポロ10号」での本当の話。

2013/04/14 13:39 Written by Narinari.com編集部

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米国の宇宙船「アポロ11号」で人類が初めて月面に降り立った偉業から遡ること2か月前、来るべき時への最終テストとして、1969年5月18日に打ち上げられた「アポロ10号」。乗船した3人の宇宙飛行士は月面近くまで接近し、さまざまなミッションを敢行、8日後に無事地球へ帰還した。このときの会話記録はNASA(米航空宇宙局)より公開され、緊迫した任務中の彼らに“珍事件”が起きていたことが明らかになっていたが、このほど欧米メディアの間で再び注目されているようだ。

今回話題となっているのは、アポロ10号に乗船したトーマス・スタッフォード船長、ジョン・ヤング、ユージン・サーナン両船員が、船内で交わした8日間の全会話を記録した、500ページ以上に及ぶ文書。珍事件を示す会話が記されていたのは、打ち上げ6日目にあたる「414ページあたり」だという。人類の偉業達成に向けて高度なミッションを繰り返す中、彼らの目の前に突然“見苦しいUFO”が現れたそうだ。

米放送局NBCや米紙ニューヨーク・デイリーニュースなどによると、“UFO”の存在に最初に気付いたのはスタッフォード船長。「早くナプキンをくれ」と発した後、「空中にうんこが浮いてるぞ」と2人に知らせたそう。これにヤング船員が「俺はしてない、俺じゃないよ」と応じ、サーナン船員も「俺でもないと思う」と答えると、2人の疑念を振り払うように船長は「俺のはもう少しゆるいよ」と応戦。しかし誰のものでも気持ちが悪い代物とあって、船長はすぐに「捨ててくれ」と2人に頼んだとされている。

ただ、“見苦しいUFO”問題はこの1回で収まらず、数分後にはサーナン船員がNASAの司令部に向けて「私たちは問題を抱えている」と発信。「もう1つうんこが浮いている」と告げた彼は、トイレの設備に疑いの目を向けたようだ。アポロ10号当時のトイレに関しては、NASAの見解によれば「技術的な点から言えば充分に機能していた」とキッパリ。一方で、排便する時は「バッグの中に出し、密封して殺菌剤を溶け込ませる」など、船員に多くの作業が要求されていたそうで、クルーにとっては大変だったはずだという。

そうした状況から、アポロ10号で起きた珍事件は、船員の誰かが「いくつかのステップを忘れた」(NBCより)ことが原因ではないかと推察。また、英紙デイリー・メールでは、元パイロットの米国人女性スニータ・ウィリアムズさんの話を紹介し、国際宇宙ステーション内のトイレ事情にも触れている。無重力下のステーションでは、便器内の右下に便の吸入口が設置されているそうだが、「しっかり狙わなければ、至るところでスタッフが触れてしまう可能性がある」と、やはり相当の困難があるようだ。

激しい競争を勝ち抜いた、その時々のエリートたちによって、着実に進歩してきた人類の宇宙開発。とかく輝かしい実績ばかりが伝えられているが、その陰で、先人たちは今回のようなまさかの苦労も少なからず経験してきたはずで、その一端が垣間見られるエピソードと言えそうだ。

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