風疹の記録的な増加傾向続く、年初からの累積報告数は1,000例間近に。

2012/08/10 07:34 Written by

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国立感染症研究所は8月7日、今年初めから8月1日までの風疹累積報告者数が917例に上ることを発表した。先月17日時点の594例からさらに増加している。また、8月1週の報告者数は108例と、週ごとの報告者数が今年に入り最多を記録。これまでに感染研などが風疹流行に伴い危惧される「先天性風疹症候群」のリスクを抑えるため、予防接種の徹底などを呼び掛けているが、流行は収まる気配がないようだ。日本産婦人科医会も「周りの人は妊婦さんたちを守るためにできることがある」として、妊婦だけでなく周囲の人々、医療関係者へのメッセージやアドバイスを集めた「風疹と母子感染2012年版」を発表している。

◎女性患者の7割以上が「出産年齢」に該当

917例の内訳は男性が703例、女性が214例。そのうち、予防接種したかどうかが不明の人が男性の70%、女性の56%、次いで「接種なし」がそれぞれ24%、29%を占めている。

都道府県別の先週の報告数では、東京都が28例でトップ。次いで大阪府(19例)、兵庫県(14例)、神奈川県(13例)、千葉県(8例)など20都府県で患者が報告されている。

7月11日の感染症発生動向調査では、女性の風疹患者の7割以上が15〜44歳の「出産年齢」に該当していることも明らかにされている。また、流行地域では学校や職場・施設での集団発生が起こっている他、非流行地域からも妊婦や妊婦の家族での感染や妊婦の同僚がいる成人での感染事例が報告されているという。

感染研は、現在「先天性風疹症候群が発生するリスクが非常に危惧される状況」であり、産じょく期を含む妊娠を希望する女性やその家族、風疹かかったことや予防接種を受けたことがない、あるいは不明な場合には、積極的に風疹ワクチンを受けることを検討してほしいと呼び掛けている。

◎1979〜87年生まれの女性はすぐに接種を

日本産婦人科医会も最近「風疹と母子感染2012年版」を公式サイトに掲載。妊婦へのアドバイスとして「妊娠24週頃までは人混みをなるべく避ける」「妊婦本人は風疹ワクチンを受けられないが、家族はすぐにワクチン接種を」「もしかして風疹? と思ったらかかりつけ医をいきなり受診せず、まず電話で相談」などの項目が示されている。

一般の人には「1979年4月2日〜87年10月1日生まれ(2012年7月現在で24〜33歳)の女性、20〜40歳代の男性、妊娠希望女性はすぐに麻疹風疹混合(MR)ワクチンを」「子供の頃に受けたことがある人も受けよう」と呼び掛けている。

また、医療関係者に対しては、妊婦の風疹診断と対応方法の他、「風疹の届け出を速やかに行う」「現在の流行を鑑み、定期接種対象者およびそれ以外の人に対しても、MRワクチンの接種を勧める。予防接種希望者がスムーズに接種を受けられるよう医療機関への協力をお願いする」などの項目が示されている。

※この記事(//kenko100.jp/news/2012/08/08/01)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(//kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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