“動物五輪”ボルト参加なら? 人類最速でも動物界ではラクダ並み。

2012/07/31 19:01 Written by

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これを読めば、ロンドン五輪出場選手の応援にますます熱が入るかもしれない。出場選手たちは自分の持つ才能を最大限に引き出すためのトレーニングを積み、五輪に臨んでいるが、野生動物の多くはそうした努力なしに、人間が驚くような身体能力を備えている。そのことをあらためて認識させられるような論評が、英獣医学誌「Veterinary Record」(2012; 171: 87-94)に報告された。陸上短距離で世界最速のウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)は、果たして動物界ではどのくらいのレベルなのか。

◎人類最速でもラクダ並み

今回の論評を発表したのは、英ブルネル大学スポーツ医学ヒューマンパフォーマンスセンターのN. C. Craig Sharp氏。ボルト選手が保持している100メートル走の世界記録は9.58秒だが、チーターの平均的な記録は5.8秒。200メートル走ではボルト選手の19.19秒に対し、チーターはなんと6.9秒との記録が示されている。

Sharp氏は、足の速い動物としてこのほか、馬のサラブレッド(200メートル9.98秒)や犬のグレイハウンド(同11.2秒)などを、また、人間が出せる最高速度(時速37.6キロ、または秒速10.4メートル)に最も近い動物として、ヒトコブラクダ(時速35.3キロ、または秒速9.8メートル)を挙げている。

自転車競技などで、選手の運動能力を示す指標の1つに「動力体重比」(体重1キロ当たりの動力)があるが、キジやライチョウは体重1キロ当たり400ワットと、トップアスリートの5倍に上るという。

力持ち部門では、アフリカゾウが300キロの物を持ち上げることができる他、820キロの物を引っ張る能力を持つとして紹介。また、ヒグマ(455キロを持ち上げるという報告あり)やゴリラ(900キロを持ち上げるという報告あり)もリストに挙げられている。人間の重量挙げにおける公式記録はクリーン&ジャークで283キロ、スナッチで457.5キロだ。

◎動物界の五輪“金メダリスト”は?

Sharp氏が、人間に最も向いているスポーツとして挙げたのはマラソンだ。脚の長さや形、短いかかと、エネルギー蓄積のシステムなどがその理由だという。とはいえ、時速16キロで18キロ以上の距離を走り続けられるラクダや、1日当たりおよそ20時間、180キロ以上の距離を8日間近く走り続けた記録を持つ犬のシベリアンハスキーに打ち勝つのは、容易なことではないとしている。

Sharp氏らは、他にもさまざまな指標で動物の能力を紹介。最後に五輪のモットーである「Citius, Althius, Fortius(より速く、より高く、より強く)」にふさわしい動物として、それぞれハヤブサ(時速260キロで飛行)、コンドル(高度11キロまで上昇)、シロナガスクジラ(最大体重190トン)を選択。また、陸生動物としては、チーター、アカカンガルー、オスのアフリカゾウがそれぞれ“金メダリスト”に選ばれている。

※この記事(//kenko100.jp/news/2012/07/31/02)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(//kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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