折り畳める都市型電気自動車、2013年の本格生産前に世界から関心。

2012/02/07 04:52 Written by Narinari.com編集部

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電車やバスなどの交通機関が発達している都市部に住んでいると、日ごろ運転免許証をそれほど活用できていない人もいるかもしれない。しかし、そんな人たちにも「あれば便利かも」と思わせてくれるような電気自動車が、先日ベルギーのEU本部でお披露目された。「Hiriko」と名付けられたこの車は駐車時に車体が縮んで3分の2のサイズにできるなど、都市部の利用に特化したアイデアが詰まっており、世界からも高い関心を集めているようだ。  

先日、ベルギー・ブリュッセルのEU本部でドゥラン・バローゾ欧州委員会委員長が、直々にメディアへ向けて完成発表を行った「Hiriko」。この車はスペイン北部バスク自治州を拠点とする7つの中小企業が集まった組織「AFYPAIDA」と、米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)が共同開発したものだ。「Hiriko」公式サイトによると、都市部で使う新たな自動車のアイデアを考えていたMITにAFYPAIDAが協力する形となり、2010年1月から開発が進められてきた。

その開発段階でプロジェクト名として使われた言葉が、そのまま車の名前となったという「Hiriko」。この言葉はバスク語で「都会の車」(米放送局ABCより)との意味があるという。文字通り、都会生活に適した機能を備えたこの車は、見た目もコンパクトかつ丸みを帯びたスタイリッシュな形状で、ドアもフロント(正面)部分をはね上げるスタイルと画期的。それ以外にも、ポイントとなる「ユニークな2つの特徴」(米ニュースサイト・ハフィントンポスト)がある。

1つは車を動かすモーターが4つの車輪それぞれに独立して装備され、個々が360度回転する点。これにより小回り性能を最大限に発揮できるため、何回もハンドルを切る必要がなく、その場で転回したり、横へ移動するといった動きもできる。もう1つは、車自体が折り畳める点。これは、狭いスペースでも車が駐車できるよう、車体前部が後部に乗り上げるようにスライドさせることで、車体の長さを3分の2に縮められるように設計されている。こうして駐車すれば、一般の普通乗用車が駐車するのに必要なスペースに「3台のHirikoが停められる」(ABCより)そうだ。

このコンパクトさゆえに、Hirikoの定員は2人。しかも都市部の利用のみを考えたとあって、最高速度は「時速50マイル(約80キロ)」(ハフィントンポストより)に抑えられている。ただ、混雑した街中でのちょっとした用事や買い物に使う程度と考えれば、その性能は充分。充電は「1回のチャージで160キロ走れる」(ABCより)よう設計され、交換ももちろん可能だ。気になる販売価格は1万2,500ユーロ(約125万円)とまずまずの値段だが、必要なときだけ使うレンタカーやカーシェアリングの用途も見込めるとあって、多くの企業や都市での利用が期待されているという。

今回は2013年の本格生産を前に、試作車が発表されたHiriko。バローゾ委員長も発表の席で、慢性的な交通渋滞を抱える「都市問題に対する答えとなる車」(米ニュースサイトMSNBCより)と大きな期待を示している。すでに「ベルリンやバルセロナ、サンフランシスコ」(ABCより)など欧米の主要都市から多くの問い合わせを受けているほか、香港やドバイからも関心を寄せられているそう。果たして世界の大都市でこの車が数多く見られるようになるのか、今後の動向が気になるところだ。

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