多くの人に愛されたコスタリカのワニ「ポチョ」、葬儀には数百人が参列。

2011/10/18 19:11 Written by Narinari.com編集部

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一般的に“獰猛で危険”とされるワニだが、コスタリカには人々に愛された大きなワニがいた。20年以上前に瀕死の状態だったところを助けてもらい、かいがいしく世話をしてくれた男性になついて離れなくなった“ポチョ”。体長5メートルの体で大人しく男性と戯れる姿はいつしか国内外で評判となり、たくさんの観光客を集める人気者となった。しかし先日、推定50〜60歳前後と見られたポチョが突然この世を去り、飼い主の夫婦はもちろん、多くの人が悲しみを胸に葬儀へ集まったという。

アメリカンクロコダイルのポチョが、コスタリカの漁師“ターザン・チト”ことジウベルト・シーダンさんと出会ったのは20年以上前のこと。その日、シーダンさんがコスタリカ東部を流れる川へ漁に出かけると、左目を銃で撃たれ瀕死の状態になっていたポチョを見つけた。彼は友人に手伝ってもらい、ポチョをボートに乗せると、自宅に連れ帰り必死に看病。そのおかげでケガも治り、すっかり元気を取り戻したことから、シーダンさんはポチョを湖に放そうとしたものの、帰ろうとするとポチョがその後を追いかけてきてしまい、以来、彼らは“親友”として一緒に生活をするようになった。

それからというもの、シーダンさんの自宅そばの池で幸せな生活を始めたポチョ。シーダンさんと寄り添うように戯れて遊ぶなど、人間とワニの間に芽生えた友情が同国のメディアに取り上げられると、その話は世界へと伝わり評判となった。こうして国内外から多くの観光客を呼ぶ存在となった2人は、2005年から池の中で仲睦まじい姿を披露するショーを開催。楽しそうに一緒に泳いだり、シーダンさんの頭を口に入れて大人しくしているポチョは観光客たちを大いに喜ばせた。

しかし、そんな2人の生活が突如終わりを迎えたのは10月11日のこと。妻オルガさんの話によると、ポチョは病気による「自然死」(コスタリカ紙チコ・タイムズより)のためこの世を去ったという。16日には、彼らが暮らしていたフィンカ・ラス・ティラピアスという村で葬儀が行われ、ポチョの亡きがらはシーダンさん夫婦と共に台車に乗せられ、地元住民たちとも最期のお別れを行った。

その後、教会で行われた葬儀には、話を知った「国中からの訪問客」も含め数百人が参列し、皆で聖書を読み「歌を捧げた」という。この間、シーダンさんは別れを偲ぶようにポチョの体に触れ、オルガさんに抱えられるようにして泣き崩れていたとも。今後ポチョは防腐処理を施された上で、地元の博物館に展示される予定とされている。

「ポチョはポチョ、唯一の存在だ」と語ったシーダンさんは、“親友”の死にまだショックを抱えたまま。ほかにも飼育しているワニを今後訓練し、第2のポチョとしてショーを再開するのかどうかをたずねられても、まだ何も考えられない様子だったという。

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