地下65階の逆ピラミッドビル、メキシコ企業が発表した度肝抜くアイデア。

2011/10/14 19:46 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


限られた土地を有効活用するために、上へ上へと高さを増しながら、世界各地で次々に建設されている高層ビル。しかし、景観の維持や航空管制などの問題から、高さ制限が設けられている場所も少なくない。メキシコの首都メキシコシティもまた、歴史ある街並みを守ろうと規制を設けている都市だが、そうした規制に触れないようデザインされた大型建築物のアイデアが話題を呼んでいる。この建築物は地下300メートル、65階建てに相当する逆ピラミッド型をしており、その大きさとデザインは海外からも大きな注目を集めているようだ。

米ニュースサイトのハフィントンポストなどによると、話題を呼んでいるのはメキシコの建築企業BNKR Arquitectura社が発表した「アース・スクレイパー」なる建物。現在900万人弱の人々が住む大都市となったメキシコシティが抱える最大の課題は、限られた土地をいかに有効活用するかという点だ。伝統ある街に残された多くの歴史的建造物の維持に努める傍ら、人口の増加によって利用できる土地は徐々に少なくなりつつあり、「新しい建物は8階までに制限」(英紙サンより)という規制がこの街には立ちはだかっていた。

そこでこうした問題に触れない大型建築物を作ろうと、同社デザイナーのエステバン・スアレス氏が提案するのが今回の「アース・スクレイパー」だ。この建物は、240メートル四方の土地を地上から地下300メートルまで掘り進めた逆ピラミッド型の構造になるという。YouTubeには建物の紹介動画「Proyecto por construir rascasuelos en pleno zocalo del Df」(//www.youtube.com/watch?v=NqJj2mOOG98)も公開されており、その説明によると、65階に分けられたスペースの上部10フロアには「アステカの博物館と文化センター」を建設。その下に35フロア分のオフィス部分と10フロア分のショッピングエリアが設けられ、住宅スペースも10フロア分用意されるようだ。

紹介動画には建物内に木々や芝生を植えているデザインもあるなど、「アース・スクレイパー」は自然をできるだけ取り入れた作りを目指している様子。そのため、広場としても活用される地上部分にはガラスの屋根を作り、太陽光を建物内に取り入れるとしている。さらに、換気の問題を解決するために最適な構造を考えた結果、今回の逆ピラミッド型の建築物にたどりついたそうだ。

スアレス氏は、この「アース・スクレイパー」がメキシコシティの実情に対応しうる「最良の方法」と話し、今までにない大型建築物の建設に大きな期待を込めている。一方で、日本と同様に地震が多発するメキシコで、この建物が有効なのか疑問視する声も出ているようだが、同氏は歴史あるメキシコシティの街並みを保全できるメリットを強調。デザイン画にはガラスの屋根の上にメキシコの国旗が掲げられている絵もあるが、完成した「アース・スクレイパー」が今後新たなメキシコの象徴となり得るのか、その時を楽しみに待ちたいところだ。



TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.