愛するピザ買いに2,200km先へ、幼き日の味を忘れられず毎回150枚購入。

2011/08/17 04:56 Written by Narinari.com編集部

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いろいろな店で外食をしていると、次第に自分の口に合う贔屓の店がいくつか見つかっていくもの。それが家の近所にあれば幸せだが、遠方となると、見つけた嬉しさと同時に滅多に味わえない悔しさが芽生えてしまうかもしれない。今でこそインターネットでのお取り寄せは珍しいものではなくなったが、それでも店側がネット対応していなければ、もしくはネット通販ができないものなら自分が現地を訪れるしか味わう方法はない。米国のある男性は「自宅から片道2,200キロ離れた場所にある、特定の店のピザしか食べたくない」と、わざわざ数日会社を休んで車を飛ばし、毎回150枚もの大量のピザを購入して持ち帰っているという。

米紙ジャクソン・クラリオンレッジャーやボストン・グローブなどによると、この男性はミシシッピー州ジャクソンで暮らす51歳のデイビッド・シュラーさん。父親の仕事の関係で13歳のときにジャクソンへ引っ越して来て以来、彼とほか11人の兄弟姉妹はいつもある不満を感じていた。それは、おいしいピザを出すお店が近くにないことだ。引っ越す前までマサチューセッツ州ストートンで過ごしたシュラーさんたちが食べていたのは、「ソースは素晴らしく、皮が薄くてサクサク」(ジャクソン・クラリオンレッジャー紙より)のピザ。ところがジャクソン周辺にあるチェーン店のピザは皮が厚い全くの別物で、彼らを満足させるものではなかった。

そんな一家が愛して止まないのは、ストートンにある「タウン・スパ・ピザ」という店のピザだった。そこは兄弟が皆子どもだった50年以上前からある、家族経営の小さなお店。引っ越したあともその味を忘れられないシュラーさんたちは、年に何回か、ストートンで暮らす親戚の家を訪ねるたびに、その店のピザをいつも食べていたという。しかしそれだけでは満足ができず、あるとき遂に店のピザを数枚テイクアウトし、姉妹がスーツケースに入れてジャクソンに持ち帰ったそうだ。

これを食べて改めて「タウン・スパ・ピザ」の味に魅了されたシュラーさんたち。最初に姉妹が5枚持ち帰ると、次は別の兄弟が10枚、その次は15枚と持ち帰る量がだんだんと増えていき、シュラーさんもますますその味の虜になった。そこで彼自身も、2005年頃から「タウン・スパ・ピザ」のピザを定期的に調達するために動き出したという。そして、数枚持ち帰ったくらいではアッという間に胃袋へ消えてしまうため、いかにして大量に持ち帰るか試行錯誤を重ねたそうだ。

ジャクソンからストートンまでは約2,200キロの距離。車で行けば24時間はかかるという長旅だ。そのため、大量に持ち帰るという問題に加えて、鮮度を落とさない方法を探したそう。最初はクーラーボックスに氷を詰め、その中にピザを入れて運んでみたものの、氷が溶けて出た水を生地が吸ってしまい、「スポンジのような」ピザになり失敗。ならばと40枚のピザを買って時間短縮に飛行機を使ってみたら、運悪く悪天候で別の空港に着陸してしまい、兄弟を呼びだした上に4時間も時間を食うハメになったこともあった。そうやっていろいろな問題点をクリアしながら、やっとの思いでたどり着いたのが今の方法だ。

その方法は、買ったピザを1枚ずつ真空パックにして、上に氷を乗せた4つのクーラーボックスに入れて運ぶというもの。これで現在は150枚を一気に持ち帰れるようになったという。先日も勤務する製薬会社で大きな仕事を片付けた直後、「数日間、留守にするよ」(ジャクソン・クラリオンレッジャー紙より)と同僚にメールを出し、ストートンへ向かった。そして今回も数か月分にあたる150枚のピザを持ち帰ると、まずは誕生日プレゼントとして甥や姪に10枚近くお裾分け。あとは皆で大事に食べて行くそうだ。

今日もおいしく食べているであろうシュラーさん一家。こんなお客さんがいて「タウン・スパ・ピザ」のマネージャーも「デイビッドは最高の客」と喜んでいるという。

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