“カモの世話”求人に応募殺到、米国の老舗ホテルで飼育の5羽を担当。

2011/08/03 18:15 Written by Narinari.com編集部

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高級ホテルともなれば料金も一流だが、客に対するサービスや細やかな気配りも一流。そのため、関係者でなければ分からないようなさまざまな仕事をする“裏方”が数多くいるものだ。米テネシー州で78年の伝統を持つ老舗高級ホテルは、先日ある仕事の求人を行い話題を呼んでいる。その仕事の内容は、ホテルで飼っている5羽のカモの世話をする“ダックマスター”のアシスタント。これまでに100人以上の申し込みが寄せられ、1枠を巡る激しい競争になっているそうだ。

米地方紙メンフィス・コマーシャルアピールによると、この求人を行ったのは伝統ある高級ホテルとして知られるピーボディーホテル。これまでにジミー・カーター元大統領やNBAのスター選手だったマイケル・ジョーダンなど、数多くの有名人が宿泊したというこのホテルで、名物の一つになっているのがロビーの噴水で客を出迎える5羽のカモだ。

公式サイトによると、このホテルでカモが飼われるようになったのは1932年のこと。当時のゼネラルマネージャーが友人らとの旅行先から戻り、ホテルで酒を酌み交わしていたところ、彼らの間で「美しいホテルの噴水に、生きているカモを飼ったら面白いんじゃない?」との話が持ち上がったという。そこでゼネラルマネージャーは、まずは実験として3羽のカモを調達。その後5羽を飼うようになり、現在までその伝統が続いている。

さらに1940年には、元サーカス調教師の男性がカモの飼育を申し出てホテルに就職。ここから“ダックマスター”の役職が誕生し、この男性は1991年まで勤務したという。

今回ホテルが募集したのは、このダックマスターを支える“アシスタント・ダックマスター”なる仕事。それまでアシスタントを務めていた男性は現在ホテルのコンシェルジュとして勤務しており、このポジションが空席だったことから、このたび募集に踏み切った。現在ダックマスターを務めるジェイソン・センサットさんは、「どんな仕事なのか、よく聞かれるんだけど」と前置きしながら、アシスタントの仕事内容を説明している。

それによると、ただ噴水にいるカモたちに餌をあげるだけと思ったら大間違いで、仕事は「たくさんある」という。餌やりはもちろん、「穏やかで魅力的」な雰囲気で生活させるために、住環境や体調への細かな配慮も必要。さらにカモに関する客への対応や、毎日2回行われるホテル内の行進の手伝いもしなければならない。そして、一番の仕事は3か月ごとに行われるカモの入れ替えだ。ホテルでは、3か月世話したカモは野生に戻し、新たに別のカモを調達しているという。その際、1週間にわたってダックマスターがトレーニングを施してから、ホテル内での生活を始めさせる。

そのため、定期的に訪れる新たなカモたちを「リラックスさせる」のが最も重要な仕事だというセンサットさん。とはいえ、宿泊客への対応も大切で、「(アシスタントは)お客様と話すことに多くの時間を費やすはず」とも話している。そんな苦労を知ってか知らずか、ホテルが出した求人に、7月末時点で「100人以上」の申し込みが殺到しているそうだ。果たして、有望な“アシスタント・ダックマスター”をその中から探し出せるのか、面接試験は今週から始まっている。

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