賞金得ても食費補助はアリか、番組で200万ドル獲得の男性に批判も。

2011/05/30 15:30 Written by Narinari.com編集部

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特に海外では、宝くじやギャンブルなどで驚くほどの高額賞金を射止めた人が、後に大きく人生を狂わせるという話が少なくない。普通に生活していたら決して手にできないようなお金を得て感覚が麻痺するのか、お金のニオイを嗅ぎつけて人が寄ってくるからなのか、散財した挙句に厳しい生活状況に陥ってしまうというパターンだ。そうなってしまう人よりは、自分の立場をしっかりと自覚し、お金を手にする以前の金銭感覚を維持できる人のほうがよほど良いのかもしれないが、それはそれで極端すぎると批判を浴びることもある。

米ミシガン州に住む59歳のルロイ・フィックさんは現在失業中。そんな彼が、人々の注目を集める出来事が昨年6月にあった。それは、同州内で宝くじ販売事業を手掛けるミシガン・ロッタリー制作のゲームショー番組「Make Me Rich」への出演だ。総額400万ドル(約3億2,000万円)の賞品や賞金を巡って、参加者がさまざまなゲームで競うこの番組。彼は賞金200万ドル(約1億6,000万円)を争うゲームに登場し、見事に優勝を果たした。

これで目もくらむような大金をゲットした彼は、多額の税金はかかるものの、すぐに全額が手に入る一括での支払いを希望。受け取った額は85万ドル(約7,000万円)まで減ってしまったが、それでも充分な大金には違いない。彼は賞金の一部で「新しい家と中古車」(米放送局ABCより)は購入したが、それ以外は余計な出費を抑え、以前のままの生活スタイルを維持しようとした。しかし、彼の場合はしっかりし過ぎていることが、周囲からの反発を招いてしまう。

なぜなら、大金を得た後も質素な生活を送るフィックさんは、以前と同様に州から渡される食費補助チケット(フードスタンプ)を利用していたから。このチケットはミシガン州が低所得者に向けて配布している金券のようなもので、受給者は一般の店舗で食料品を購入する際に使用できるという。最近、この事実を掴んだ州議会議員が、州の厳しい財政状況の中で問題があると異議を唱え、「賞金獲得者はすべての公的補助プログラムの対象外」(米紙デトロイト・ニュースより)とする法の整備に向けて動き出したそうだ。

しかし、フィックさんにも言い分はある。賞金獲得後にきちんと州の福祉局へ問い合わせ、チケットが「まだ利用できるか」と確認した上で使用していると主張。彼の弁護士も「彼の収入に基づけば、資格がある」と正当性を訴えている。

デトロイト・ニュース紙によると、彼がチケットを使える理由は賞金の獲得方法にあるらしい。仮に当時分割払いを選択していたら、福祉局は毎月定期的に入ってくるお金を「収入」と判断し、チケットは使えなくなった可能性が高いのだが、一括払いの場合は賞金が収入ではなく「資産」とみなされたため、チケットの収入基準には抵触しないというわけだ。

家にはインターネットもなく、「シンプルな生活を送っている」だけというフィックさん。ただ、高い失業率に加え「途方もない財政赤字」(ABCより)に陥っている州の状況をよく知る議員や市民からすれば、この事実は納得がいかないようだ。

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