店の名前はズバリ「村上春樹」、中国で営業するパン屋を直撃してみた。

2011/03/01 05:56 Written by Narinari.com編集部

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作家・村上春樹氏の最新長編小説「1Q84」は中国でも出版され、好評を博しているのはご存知の方も多いことだろう。また、同氏の「ノルウェイの森」は“中国で最も読まれた海外小説”として、いまだ根強い人気を誇っている。それだけ村上氏は多くの中国人に影響を与えている作家なのだが、中国・深センには、その名もズバリ「村上春樹」という名のパン屋がある。そこで、ナリナリドットコムの中国特派員が同店を訪問。どのようなお店なのか、レポートをお届けする。

パン屋「村上春樹」があるのは、世界の製造業が集まる中国・広東省深セン市の郊外。このエリアには東レやYKKなどたくさんの日本企業も進出しており、街では日本料理店や日式カラオケが散見されるなど、日本にゆかりのある店も数多い。

「村上春樹」は、そんなエリアの中心部からさほど離れていない場所に、大きな看板を掲げて営業していた。店内はパン屋としては広々としており、カフェスペースも併設している。内装はこのエリアにあるほかのパン屋に比べるとオシャレな雰囲気で、客層は若い男女が中心。近隣にカフェらしいカフェが少ないこともあり、ちょっとしたデートスポットとしても人気のようだ。

店内で販売されている商品のラインアップは、惣菜パンや菓子パン、食パンなど、それほど代わり映えはない。価格は3〜10元(約40〜125円)ほどで、価格面においても他店との違いはないようだ。また、店名の「村上春樹」は何らかの意思を感じるネーミングだが、それぞれのパンに付けられた名前に特長はなく、著作名をもじったパンなどは一切なかった。

カフェスペースのほうにも目を向けると、客が自由に読める雑誌や書籍が置いてあるが、村上氏の本はゼロ。どうやら「村上春樹の世界観を(勝手に)イメージ」といった類の店ではなく、単に「店名のインパクト」を追求した店のようだ(※商標に対する意識については定かではない)。

そこで、なぜこのような店名なのかを、店員さんに直接聞いてみた。すると「老板(オーナー)が村上春樹のことを好きだから」とのこと。オーナーは若い深セン人で、村上氏の著作に多大な影響を受けているそうだ。ちなみに、同店のオープンは2007年と少し前のことだが、現在の場所には2010年12月に移転してきたばかりだという。また、同じエリアにも支店があることもわかった。

なお、店員さんは全員、村上氏について「名前は聞いたことがあるけど、本は読んだことがない」というレベル。客も「詳しく知っている人はあまりいない」(店員談)とのことだ。

参考までに、店の付近で「村上春樹について知っていますか?」と数人の中国人にたずねてみたが、全員が即答で「知らない」との返事。「村上春樹」の店名が売り上げに貢献しているという印象は受けなかった。

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