授業中に携帯預かる商売が繁盛、学校の“持ち込み禁止”で思い付く。

2010/11/09 17:21 Written by Narinari.com編集部

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いまや子どもでも携帯電話を所有するのが当たり前の時代になったが、同時に、生徒の携帯電話への対応に苦慮しているのが教育現場だ。授業に集中せず携帯電話をいじるといった問題やさまざまなトラブルを回避するために、学校への持ち込み自体を禁止している小中学校も数多い。こうした状況は米国でもあまり変わらないが、ニューヨークではこれに目を付けた珍商売が現れ、いま、生徒の間でちょっとした人気を呼んでいるという。

米紙ニューヨーク・デイリーニューズによると、この商売を始めたのは38歳のヴァーノン・アルコザーさん。彼はいま、毎朝ブロンクス地区の路上に小型トラックで乗りつけ、1日1ドル(約80円)で携帯電話を預かるサービスを提供している。顧客は付近の高校に通う生徒たち、およそ700人で、学校が終わればすぐに携帯電話が使えると、この商売に対する生徒の評判は上々だ。

ニューヨークの学校では2005年から原則的に携帯電話の持ち込みが禁止になったが、その対応は学校によってまちまちだった。そのため、学校に携帯電話を持って行き、授業中は見つからないように隠している生徒も少なくなかったという。中には持ち込み禁止を徹底するべく、金属探知機を設置して対応するブロンクス地区のハーバートH.リーマン高校のような学校もあるそうだ。

これには「誰かに襲われたときに必要」と話す生徒たちだけでなく、「子どもがどこにいるのか、いつでも分かるようにしておきたい」と、保護者の間からも不安の声が上がっており、そうした声を耳にしたアルコザーさんは携帯電話を預かる商売を発案。学校の近くで預かってくれる人がいれば、わざわざ家に置いていかなくても学校外ですぐに使えるとあって、生徒にとっても保護者にとっても安心を“買える”サービスとなっている。

ハーバートH.リーマン高校の近辺では、同様のサービスを提供している雑貨店などもあるそうだが、こちらは窃盗防止用に自分の携帯電話で自分の写真を撮る手間があったり、下校時に引き換えるためのチケットを持つ必要があったりと、若干の手間がかかるらしい。また、仮にチェックをくぐり抜けて学校内に持ち込めたとしても、見つかれば没収され、学校側は両親にしか引き渡しに応じないため、ある女子生徒は「そんな危険を冒すなら、むしろ1ドル払う」と話している。

アルコザーさんの会社には昨年この高校を卒業した男性もいるそうで、「子どもたちは携帯電話なしで生活できない」と、“預かりサービス”の重要性を説明している。この商売の成功は、こうした声を的確に掴み、学校の規制強化に即座に反応した行動力の勝利と言えるかもしれない。

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