脱皮した海老「ソフトシェル海老」って何だ? 希少な食材を食べてみた。

2010/03/22 16:15 Written by Narinari.com編集部

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かつて日本では珍しかった脱皮直後の蟹・ソフトシェルクラブも、いまではすっかりおなじみの食材。レストランや居酒屋などのメニューでも目にする機会は多く、ネット通販でも簡単に手に入れることができる。殻をむく必要のない食べやすさ、柔らかな食感、身と味噌の渾然一体となった味、揚げ物にも炒め物にも簡単にできる料理のしやすさなど、普通の蟹とはまた違った魅力のある食材だ。そんなソフトシェルクラブと同じ甲殻類で、やはり脱皮をする海老にも“ソフトシェル海老”(ソフトシェルシュリンプ)がある。

ソフトシェル海老はその名の通り、脱皮直後の殻が柔らかい海老のこと。殻やしっぽの部分はもちろん、頭の部分もそのまま食べられるため、ソフトシェルクラブ同様に身と味噌の味を一緒に楽しめるのが特徴だ。下処理は軽く洗って背わたを取るだけでOK。出来上がった料理は殻をむく必要がないので、食べるときに手を汚すこともない。

この食材は中華やイタリアン、和食の料理店などで提供されていることはあるが、市場にはあまり流通しておらず、ソフトシェルクラブに比べるとまだまだ一般的な認知度は低めだ。提供している店やネット通販で取り扱っているサイトでも、その希少性を売りにしていることが多く、あるサイトでは「500キロの中から1〜2キロしかとれない」と説明している。

今回、ナリナリドットコムは車海老が脱皮したソフトシェル海老を入手することができたので、調理して食べてみることにした。

冷凍状態で届いたソフトシェル海老は、まず、水か流水で解凍。解凍した状態の海老に触れると、殻がふにゃふにゃとしており、少しでも雑に扱うとすぐにむけてしまうほど柔らかだ。背わたを楊枝でピュッと取り除いて下処理は終わり。日本酒とナンプラー、オイスターソース、ニンニク、しょうがで簡単に味付けをして炒めてみた。

完成した料理の海老は殻をむく必要がないので、そのままパクパクと食べることに。海老は殻付きの状態で調理すると、旨味が閉じ込められて濃厚な味わいとなるが、ソフトシェル海老もやはり味は濃いめ。殻をむかなくて良い分、絡んだソースとともにそのまま口に入れられのも嬉しいところだろう。

ただ、殻の食感を感じないほどか――と言われれば、そういうわけではない。今回入手したソフトシェル海老は「脱皮1日以内」に急速冷凍されたものだったが、それでも殻の食感はそれなりにある。もちろん、通常の海老の殻のように固いものではなく、食べる上で支障はないが、ほとんど殻の存在を意識しないソフトシェルクラブの食感をイメージしていると、少し異なるかもしれない。

とはいえ、海老の味噌も一緒に味わえるソフトシェル海老は美味。調理もしやすく、料理をする人なら一度は使ってみたい食材だろう。スーパーなどに並ぶことはほとんどなく、また、ソフトシェル海老を使用したメニューを提供するレストランもそう多くはないが、機会があればぜひお試しあれ。


☆脱皮した伊勢海老「ソフトシェル伊勢海老」

今回は脱皮した車海老を入手したが、同じように伊勢海老にもソフトシェル伊勢海老がある。三重県伊勢市にあるフレンチレストラン「ボンヴィヴァン」ではこの食材を使ったメニューを提供。2007年頃からテレビや雑誌などでも取り上げられているので、ご存知の人も多いかもしれない。同店のホームページによると、ソフトシェル伊勢海老は地元では「やいこ」と呼ばれ、とても珍重されているそう。なお、「脱皮伊勢海老をつかったメニューは現在、ご予約頂いている分しかご用意できません。また、再入荷も決まっておりません」(2009年11月14日時点)とのことだ。

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