遊びながら電気を作るボールが話題に、サッカーボール型の発電機開発。

2010/03/01 10:07 Written by Narinari.com編集部

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エトオ、ドログバ、アデバヨールなど、近年はスタープレーヤーとして欧州での活躍が目立つアフリカ出身のサッカー選手たち。そうした選手に憧れ、次代のスタープレーヤーを夢見て、小さな頃からサッカーを楽しんでいるアフリカの子どもたちは多い。そんなアフリカのサッカー人気に米ハーバード大学の学生グループが着目。楽しみながら電気を作れるサッカーボールを開発したところ、環境にも優しいと注目が集まり、さまざまなメディアがこの話題を伝えている。

「sOccket」と名付けられたサッカーボール型の発電機を開発したのは、ハーバード大学の在校生と卒業生からなる女性4人グループ。グループは現在置かれたアフリカの途上国の実情を知ったことをきっかけに、「sOccket」の開発を始めた。

公式サイトによると「アフリカに住む95%の住民は電気のない生活」で、明かりとして灯油ランプを利用するという。しかし、灯油は高価な燃料というだけでなく、発生する煙が呼吸器に与える影響が大きく、子どもたちの死亡原因のひとつとなっており、これらの問題を解決する新たな機械を開発できないかと模索。そこで目をつけたのが、アフリカでも人気のサッカーだった。

見た目は通常のサッカーボールとほぼ同じ「sOccket」は、その中に磁石とコイルが入っており、ボールを蹴ったり転がしたりする際に生まれる運動エネルギーを電気に変換する仕組み。グループは完成した試作品を携えて、昨年7月に南アフリカを、今年1月にケニアを訪問し、子どもたちに「sOccket」で遊んでもらい効果を測った。その結果、「15分のプレーで、3時間LEDを点けることができると分かった」(米紙ニューヨーク・タイムズより)そうだ。

この結果を踏まえて、グループはさらに発電効率をあげるべく次の試作品開発に着手。「W杯が始まる頃までには、2作目がテストできるようにしたい」と、開発を急いでいるという。グループの1人ジェシカ・リンさんは、アフリカでの実験中に「ボールに太陽電池パネルを付ければ」(米ディスカバリーチャンネルより)と、子どもからアドバイスをもらったエピソードを紹介。リンさんも「素晴らしいアイデア」(同)と話し、2作目に向けた大きなヒントを得た。

ケニアでの実験以降、「電気が通わない地域が多いアフリカに住む人々に、クリーンで安全な力を供給できる」(英紙メトロより)と、世界のメディアが「sOccket」に注目。日本でも、世界のユニークなサービスやアイテムを紹介するサイト「百式」で紹介されるなど、注目され始めている。グループは次の南アフリカでのテストを経て「今年末までには完成させたい」と話しており、開発も順調に進んでいる様子。昼間に子どもたちがサッカーへ向けた元気な力が、夜は家の電気に活用される。そんな状況が現実となる日も、そう遠くはないかもしれない。

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