サッカー観戦で地球240周分移動、あまりの熱狂的な応援に妻も呆れ気味。

2009/10/01 10:42 Written by ナリナリ編集部

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圧倒的な技術とプレーで、観戦するファンを魅了するプロスポーツ。日本でいう野球のように、伝統があるほど幅広い年代から親しまれ、熱烈なファンも多くなる。同様に欧州で人気のスポーツといえば、なんといってもサッカー。世界からトップレベルの選手が集まる各国リーグの試合は、今や欧州の枠を飛び越えて全世界のファンが楽しむほどだ。中でも人気のあるリーグのひとつがイングランドのプレミアリーグだが、同リーグに所属するアーセナルのサポーターで、ホームの試合が行われるごとに米国から毎回9,000マイル(約1万4,000km)を移動して観戦に訪れるという、熱烈なファンの男性が話題になっている。

米ジョージア州コロンバスに住んでいる63歳のニーサン・シナドゥライさんは、アーセナルを応援し続けて42年という筋金入りのサポーター。英紙デイリー・エクスプレスによると、シナドゥライさんは1966年にスリランカからロンドンへ移住し、1967年に初めてロンドンをホームとするアーセナルの試合観戦に訪れた。その雰囲気に酔いしれたシナドゥライさんは、すぐさまアーセナルファンになり、以来、ホームスタジアムだったハイバリーで試合が行われるときには、必ず出向くようになったという。

その熱の入れ具合は、ハンパではない。まだロンドンに住んでいた1975年、シナドゥライさんに息子ができたときのこと。3月15日の朝に妻が産気づき、息子が誕生する瞬間を逃すまいとそばに付いていたシナドゥライさんだったが、なかなか産まれない状態が続いたまま、アーセナルの試合が行われる3月18日を迎えてしまった。妻をとるか、アーセナルをとるか、愛する2つを天秤にかけた結果、シナドゥライさんは妻を病院に連れて行き、自分はそのままハイバリーへ。妻は病院で無事息子を出産したものの、誕生の瞬間にサッカー観戦へ向かった夫に激怒したという。それでもシナドゥライさんは「試合を見逃すなんて、耐えられなかったんだ」(デイリー・エクスプレス紙より)と、子どものような言い訳をしている。

そして31年前の1978年、シナドゥライさん一家は米国へ移住。英国から遠く離れた地へ引っ越したにも関わらず、アーセナルへの熱は冷めることなく、その行動力はケタ外れだった。ホームスタジアムでの試合に、シナドゥライさんは31年間ほとんど欠かさず、コロンバスから9,000マイル離れたロンドンまで観戦に向かっている。これまでの総移動距離は600万マイル(約965万km)、ザッと地球を240周近く周れる距離だ。

それだけに、移動する時間と費用も大きい。デイリー・エクスプレス紙は、アーセナルの試合が土曜日に行われるときのシナドゥライさんの行動を紹介している。それによると、シナドゥライさんは金曜日の朝5時に起床し、4時間仕事をしてから9時45分発のアトランタ空港行きのバスに乗るため出発。13時35分発の飛行機でヒューストン国際空港に向かった後、19時発の飛行機に乗り換え、土曜日の4時30分にロンドン到着。そこから電車でウィンブルドンに住む姪の家に向かって試合の準備を済ませ、ようやく観戦となる。試合が終わると、姪の家で仮眠を取って朝5時30分に出発し、30時間かけて家に帰るそうだ。

英紙サンによれば、年間2万ポンド(約280万円)もサッカー観戦のためにお金を使うとというシナドゥライさん。時間もお金も自分に注ぎ込んだ結果、昨年、仕事と40万ポンド(約5,700万円)の家も無くしたそうだ。それでもロンドン行きをやめられないシナドゥライさんは、仕事の退職金から費用を捻出しているという。今は自営でITコンサルタントの仕事をしているとはいえ、確実に資産を減らし続ける夫に、「おかしいわよ」と呆れる妻の気持ちも理解できる。

1番のお気に入りの選手は、2007年までエースとして君臨してきたフランス代表のティエリ・アンリ選手(現バルセロナ)と話すシナドゥライさん。3年前、新たに建設されたエミレーツ・スタジアムにホームスタジアムを移転したアーセナルだが、ここ数年はタイトルから遠ざかっている。今シーズンも、主力選手を金満クラブに引き抜かれるなど厳しい話題もあったが、早くシナドゥライさんの応援が実を結ぶよう、結果が出ることに期待したい。

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