日常の中でケータイを使えば使うほど、ユーザーを悩ませるのはバッテリの問題。コンビニに行けば乾電池を使用した充電器が普通に購入できるようになったほか、ソーラーパネルを搭載したケータイ(auの「SOLAR PHONE SH002」、ソフトバンクの「SOLAR HYBRID 936SH」)も登場するなど、昔に比べればずいぶんケータイのバッテリを取り巻く環境は変わってきているが、まだまだバッテリ残量を気にせずにケータイが使える環境とは言い難いのが現状だろう。
でも、そう遠くない将来、ひょっとしたらユーザーは“ケータイの充電”という行為自体が不要となるかもしれない。世界最大のケータイ端末メーカーであるノキアは、いま、空中の電波を集めて勝手に充電してくれるケータイの開発を進めており、微量ながら、現時点でも充電に成功しているという。
ノキアが開発を進めているのは、空中を飛び交っているケータイ、テレビ、ラジオなどのさまざまな電波の断片を拾い集め、それを電気に変えてケータイのバッテリを充電する技術。現在、5ミリワットの電気を空中から集めることに成功しており、近いうちに20〜50ミリワットまで引き上げる計画だ。ただ、一般的にケータイは、電波状態の良い場所で立ち止まり、通話をした場合に1ワット(=1,000ミリワット)は必要だと言われ、より高度な処理を要求する場合にはこの限りではないため、実用化への道のりはまだ遠い。
しかし、ソーラーパネルを搭載したケータイと同様、いきなりフル充電を求めるのはムリだとしても、「バッテリが切れない程度に待ち受け状態を続けさせる」「簡単な処理ができるだけの電力を確保する」という使い方を想定するのであれば、実用化は案外早いかもしれない。ノキアは研究を進め、今後3〜5年での実用化を目指しているという。
この話題を伝えている米Yahoo! TECHには1,000件近いコメントが寄せられているが、「すごい!革新的だ!」「ムダになっている電波を利用するのは素晴らしい」といった賞賛の声の一方で、「実用化までは難しいんじゃないか」「身体に悪くないの?」と、技術的な障壁の高さや人体への影響を心配する声も少なくないようだ。
理論上は、電波の遮断された地下などでなければ、街中を歩いているだけでも、駅のホームに立っているだけでも、勝手に充電されていくことになる「電波を集めて充電するケータイ」。果たして5年後、もしくは10年後に実用化され、広く普及することになるだろうか。