ベネズエラ政府販売の「世界最安ケータイ」登場、卑猥な名称に物議も。

2009/05/16 13:31 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


近年、端末価格が上昇している日本の携帯電話。最新機種ともなれば5万円以上するものも少なくないため、需要は低下する一方だ。こうして日本がケータイ端末の高騰にあえぐ中で、南米のベネズエラでは政府の後押しにより、端末価格が約15ドル(約1,400円)のケータイが発売された。この価格で機能が充実しているため人気を博しているが、卑猥なことを想起させる名称をめぐり、ベネズエラ国内で論議を呼んでいるという。

ベネズエラは、キューバやボリビアと連携した反米の旗手として知られる。特に、1999年にウーゴ・チャベス大統領が就任してからは、欧米資本に認めていた石油開発を強制徴用して国営化するなど、強引で過激な方針が取られていた。そのため、国内でも2002年にクーデターが起きるなど問題が頻発していたが、石油輸出による利益を教育や医療の無料化など国民に還元したことが功を奏し、近年はチャベス大統領の支持率も安定しているようだ。

そのベネズエラで発売されたケータイ「Vergatorio」は、同国政府と中国企業の合弁会社によって開発されたもの。政府が生産に助成金をつぎ込んだ結果、15ドルという低価格を実現した。カメラやネット接続はもちろん、MP3とMP4を再生できるプレーヤーやFMラジオチューナーを搭載するなど、15ドルながら機能は充実している。「Vergatorio」の発売を報じた英紙ガーディアンによれば、「おそらく世界で最も安いケータイだろう」だという。

ベネズエラでは国を挙げて「Vergatorio」の販売に力を入れており、チャベス大統領自ら宣伝を買って出ている。同大統領が記者会見で「Vergatorio」を宣伝する様子は、YouTubeでも視聴可能だ。また、母の日にテレビ番組へ出演した同大統領は、Vergatorioを使って自身の母親と会話。これも大きな宣伝効果になったのだとか。

その熱意と低価格が功を奏し、今週だけで1万台を販売したほど人気を博している。ベネズエラ政府は今年1年間で60万台の生産を見込んでいるほか、2011年までに200万台の生産を目指しており、カリブ海諸国への輸出、さらには世界への進出も視野に入れているという。

ところが、「Vergatorio」の「Verga」がスペイン語で男性器(ペニス)を表す俗語であることから、スペイン語圏のベネズエラでは一部の人がこの名称に不快感を抱いているのだとか。ガーディアン紙は、「こんな下品な名前をつけたのが信じられない」と語る住民の声を紹介した。一方で、地元紙は「鏡の前でゆっくりこの卑猥な名前を発音し、あなたの表情に注意してみてほしい」とする記事を掲載。ガーディアン紙も「多くのベネズエラ国民は、その名前を楽しんでいる」と伝えている。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.