「差別反対」ストの高校生ら、米TVが「世界一すばらしい人々」と賞賛。

2009/05/06 23:20 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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先日、カナダのオンタリオ州ケスウィックの高校で、生徒2人によるケンカの末に片方だけが逮捕され、学校からも停学処分を受けたというニュースをご記憶でしょうか。白人の生徒がアジア系の生徒に対して人種差別的な発言をした上に殴りかかったことから、アジア系の生徒が「正当防衛」として、相手の鼻に一撃を放ち、けがを負わせたという一件です。ちなみに、この生徒はテコンドーの黒帯保有者でした。

しかし逮捕された生徒がマイノリティであったこと、ケンカの原因が相手の白人生徒による人種差別的な悪口であったこと、このようなイジメが日常的に行われていたこと、そして先に手を出したのも白人の生徒だったこと……。これだけの事実があるのに、アジア系の生徒だけが逮捕されるという結果になったのは、根本に人種差別があるのではないか。そう疑問に感じた同校の生徒約400人が後日、授業を放棄し、校庭で学校や警察に対してストライキを行いました。

このニュースはその後、カナダ国内の複数メディアで紹介され、処分を下した関係者は批判の的に。そして警察は白人の生徒に対しても捜査を開始し、場合によっては逮捕の可能性もあると発表しました。

アジア系の生徒への最終的な判決などは、まだ出されていません。それでも彼の同級生らの働きかけで、今回の件が差別なく公平に扱われ始めたという事実は、多くの人々の心を動かしました。

今回の出来事はカナダのみならず、米国でも注目を集めています。全米ネットワークMSNBCのトークショー「Countdown With Keith Olbermann」では、先週木曜日にこのケスウィック高校の出来事が紹介され、番組の司会者は「世界一すばらしい人々」ランキングの1位に選出しました。

白人の生徒に一撃をおみまいしたアジア系の生徒だけではなく、ストライキに参加した同校の生徒たち全員に対しても、「よく人種差別やイジメに立ち向かってくれた。素晴らしい」と賛辞を送っています。少年同士のケンカがここまで波紋を広げたというのは驚きですが、さらに国境を越えて注目されているだけに、これからの動きは、またポジティブな方向に進むかもしれません。

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