米スポーツ専門誌が田沢純一を大特集、斎藤佑樹の将来にも言及。

2008/11/26 21:52 Written by コジマ

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米大リーグで活躍する日本人選手の増加は著しく、今季終了時点にメジャーで活躍していた選手は15人。ワールドシリーズが2年連続で日本人選手所属球団の対決となるなど、野茂英雄投手(今季途中で引退)が渡米した13年前とは隔世の感がある。

今オフも上原浩治投手(巨人)や川上憲伸投手(中日)らのメジャー移籍が盛んに取りざたされているが、その中でも日米の熱い視線を浴びているのが、日本のプロ球界を経ずに大リーグへの挑戦を予定している新日本石油ENEOSの田沢純一投手だ。これまでにメジャーの各球団と交渉を行い、憧れの松坂大輔投手が所属するボストン・レッドソックスに入団する意思を固めたと報じられている。

そんな田沢投手について、米スポーツ専門誌スポーツ・イラストレーテッドが電子版のトップページで長文の特集記事を掲載した。同誌は、日本でのドラフトを経ずにメジャー入りを希望したため日本球界を騒然とさせたことなどを紹介するとともに、メジャーでの可能性を検証。成功のいかんにかかわらず、新たな歴史を刻んだ選手として語られることになると結論している。また、早稲田大で活躍する斎藤佑樹投手の将来に影響を及ぼすのではないかとの見方を示した。

同誌は、野茂投手を皮切りに、イチロー外野手(シアトル・マリナーズ)や松井秀喜外野手(ニューヨーク・ヤンキース)、松坂投手らの活躍によって日本人選手の価値が高められたが、早々に米球界を去った選手もいることを指摘。22歳の田沢投手の将来性に期待しつつも、日本球界での実績がないことから「これまでの成功例に当てはめるのは難しい」と評している。

また、ドラフト指名を拒否したことで日本プロ野球機構(NPB)の反発を招いたことや、NPBと大リーグ機構(MLB)で交わされていた「紳士協定」が破られたことにより、日米球界の関係悪化を懸念している。とはいえ、こうした問題提起を行ったことで「野茂が極東から逃げてきたときにパンドラの箱は開かれた。そして、田沢はその成功のいかんにかかわらず、歴史に新たな流れをつくった選手として語られることになるだろう」とした。

ちなみに、日本のプロ野球を経ずに渡米した選手は、マック鈴木投手(現米独立リーグのカルガリー・バイパーズ)と多田野数人投手(現日本ハム)がおり、田沢投手が初めてのケースではない。しかし、マック鈴木投手は高校中退、多田野投手はスキャンダルで指名を受けることがなかったため、プロ球団の上位指名が予定された選手が自らの意思でメジャー入りを希望するという点では初のことだ。

さらに同誌は、日本球界が熱視線を送っている早稲田大の斎藤佑樹も、田沢投手が作った「新たな流れ」に乗るのではないか、つまり、大学卒業後に大リーグ入りを目指す可能性を指摘した。これらのことから、NPBが優秀な人材の流出を止められず、日本のプロ野球に危機的な状況が訪れることを懸念している。

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