宮崎駿監督が4年ぶりにメガホンを執ったスタジオジブリの最新作「崖の上のポニョ」。7月19日から全国公開され、初日から3日間の興行収入が、「千と千尋の神隠し」(日本の興行収入歴代1位 304億円)の出足に匹敵する15億7500万円を記録するなど、この夏の主役として期待通りのスタートを切っている。また、8月27日に開幕するヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門への出品も決まり、今後は日本のみならず、世界中から注目を浴びることになりそうだ。
そんな明るい話題が続く「崖の上のポニョ」なのだが、公開からまだ2週間足らずにも関わらず、中国の動画共有サイトに映像が流出してしまった。しかも、作品の一部ではなく、全編がアップロードされるという最悪の事態だ。
映像はフィルムが流出したような鮮明なものではなく、中国の海賊版DVDなどによく見られる映画館での盗撮動画。スクリーンの真正面にカメラを構えて録画されているため、映画館の雑音がところどころで入るものだ。こうした映画の盗撮は歴とした犯罪で、日本では2007年8月30日に施行された映画盗撮防止法によって、10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金という、厳しい刑罰が科される。
中国の海賊版市場では、このような盗撮動画を焼いたDVDが100〜200円程度で販売されているため、原盤となる動画がネットに流出している時点で、すでに市場にも出回っている可能性が高い。また、ファイル交換ソフトなどを通じてコピーされていくのは確実と言える。
アップロードされているのが著作権侵害への対応が速いYouTubeやニコニコ動画のようなサイトではなく、中国のサイトであることから、仮にスタジオジブリなどの権利者側が完全削除を求めても、どこまで運営側が対応するかはわからない状態だ。削除されては再アップロードが繰り返されていることから、一応は何らかの対応を見せている可能性はあるが、現在もいたちごっこは続いている。