今季開幕前からJリーグで注目された川崎F「史上最強の3トップ」の一翼を担いながらも、固い意志をもってチームを退団したFWフッキ選手。FW陣の故障者が続出している川崎Fにとって、01年にコーチと連れ立って浦和へ移籍したエメルソン選手以来の悪夢となってしまった。しかし、一部で指摘されていたフッキ選手の加入による連動性の喪失が振り払われたためか、はたまた一方的な退団に奮起したのか、チームは3月30日のリーグ戦第3節で今季ナビスコ杯予選第1戦で敗れた千葉を下し、今季初の白星を挙げたのだ。

そのフッキ選手の移籍先として名乗りを上げていたのが東京V。萩原敏雄社長は「条件提示しているのはウチだけ」「フッキはここがいいと言っているし」（ともにスポーツ報知より）と移籍が濃厚であることを示唆していたのだけど、4月2日に公式サイトで正式加入が発表されたのだ。

「ヴェルディでプレーできることを大変幸せに感じています。去年活躍したように、今年も活躍できるよう、全力を尽くして頑張ります。応援よろしくお願いします」（公式サイトより）と語ったフッキ選手、早くも緑の練習着を身に着け、軽く汗を流したのだとか。3日の練習からチームに合流し、6日に行われるリーグ戦第5節の神戸戦、もしくは12日の第6節F東京戦から出場することが有力視されている。

ここで気になるのが、どの外国人選手が放出されるのかということ。東京Vには現在、Jリーグで規定されている3人の外国人選手が登録されているのだけど、どうやら2月28日に同じく川崎Fから移籍したばかりのMFフランシスマール選手を解雇する模様。フランシスマール選手は川崎F時代の昨年に負った傷の影響からプレーに精彩を欠いており、今季は出場なし。06年まで在籍したブラジル1部リーグのクルゼイロへ復帰するそうだけど、ネットからは同情の声が多数寄せられているのだ。

フッキ選手の獲得とフランシスマール選手の即解雇には批判の声が上がってものの、昨季J2得点王の再加入は決定力不足の東京Vにとって大きな戦力。今季初勝利だけでなく、J1復帰の原動力となったMFディエゴ選手との連動によって優勝争いに食い込むことも期待される。それにしても、川崎Fが「数々のオファーをフッキって、川崎復帰を決めたフッキ」と題して1月に発売したフッキ選手のTシャツは、レアアイテムになってしまったのだ。