警察庁が交通教則改正、自転車3人乗り禁止徹底で困惑の声も。

2008/02/26 23:53 Written by コジマ

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手軽な移動手段として重宝する自転車。しかし、交通切符を切られることが少ないため信号無視や酒酔い運転する人が続出しており、近年は運転中に携帯電話を使用することが問題化している。また06年度の自転車関連事故件数は10年前と比べて4.8倍(対歩行者)に増加したという。

自転車は道路交通法で「軽車両」とされており、信号無視が「3カ月以下の懲役又は5万円以下の罰金」、酒酔い運転が「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」など、違反した場合には自動車と同じく罰則が設けられている。にもかかわらず、警察による検挙がまれなため、違反者は増加する一方。警察庁は対策として06年、積極的に「赤切符」を切る取り締まり強化に乗り出したのだけど、上記の事故件数を見る限り、効果が上がっているとは言い難いのだ。

そのため警察庁は昨年末、1978年以来30年ぶりとなる「交通の方法に関する教則」自転車関連部分の見直しを決定した。実施されるのは今春で、携帯電話、ヘッドホン、傘を使っての運転禁止が明文化されて罰則も科される予定。むやみにベルを鳴らすことも禁止され、「自転車同士が対面してすれ違う場合、お互いが左にハンドルを切って避ける」なんて項目も設けられているのだ。

さらにこの中には、補助いすを使っても3人乗りを禁止することが盛り込まれている。自転車はそもそも2人乗りが禁止されていて、現行法でも「2万円以下の罰金又は科料」の罰則があるのだけど、補助いすを付けた場合に限って2人乗りが、さらに一部地域ではおんぶ紐で背負えば3人まで乗れるようになっている。しかし、自転車の前後に補助いすを付けて3人乗りしている状況をよく見かけるのが実際のところ。産経新聞によると、子供が2人以上いる親の35%が3人乗りをしており、補助いすを2つ取り付けての3人乗りが違反であることを知らない人は42.3%にのぼっていたのだとか。

産経新聞は、3人の子供を抱える女性会社員の困惑する声を紹介するとともに、今春の改正によって混乱が生じることを懸念している。同紙は少子化対策に逆行することや、自転車の代替として自動車を使うと回答した人が多かったことから環境保護にも即していないと指摘する声も掲載しているのだけど、違反者が後を絶たず、重大な事故が少なくないことから取り締まりの強化はやむを得ない処置なのかもしれない。いずれにせよ、心無い一部の利用者によって多くの人が不便な思いをするのは、なんとも悲しい限りなのだ。

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