テニスの錦織選手に米国も注目、地元紙「イチロー化現象」と報道。

2008/02/23 20:07 Written by コジマ

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2月17日に米フロリダ州で行われたデルレイビーチ国際選手権決勝で金星を挙げ、日本の男子選手として16年ぶりとなる男子プロテニス協会(ATP)ツアー優勝を果たした錦織圭(にしこり・けい)選手。この快挙は日本でも大きく報道され、メディアからは早くも「テニスの王子様」や「テニス王子」などのニックネームが付けられている。世界ランキングは113ランクアップの131位に上昇し、本人が目標に掲げている「世界のトップ10入り」も遠くない将来に達成できそうなのだ。

錦織選手は勝利の余韻にひたる間もなく、18日に米カリフォルニア州サンノゼで始まったSAPオープンに出場。1回戦では世界ランキング96位のディエゴ・ハートフィールド選手(アルゼンチン)にストレートで快勝し、21日に行われた2回戦ではデルレイビーチで破ったジェームズ・ブレーク選手を上回る世界ランキング6位のアンディ・ロディック選手(米国)と対戦した。この試合では実力を出し切れず、2-6、4-6とストレートで敗れている。

この試合について、本人は「試合前にはナーバスになったが、試合中は気にならなかった」(時事通信より)とコメントしているのだけど、インターネットでこの試合を観戦したという松岡氏は、自身のブログで「全く自分のテニスを見失っていた」「その雰囲気に完全に飲まれていた」とし、「今日の試合は勝てた。僕は、彼を冷静で落ち着いてプレイ出来ることが強さだと“クールプリンス”と名づけたが、そのクールさ、体から放たれるエネルギーが感じられない悪い方向として出てしまった試合だったと思う。これだけ、よいテニスができている、波にのっている状況は少ないだけに、最後まで踏ん張って欲しかった・・・というのが、正直な感想だ。」と辛口のコメントを記している。

ただ松岡氏は、ロディック選手が「信じられないクレーム」をつけるほど本気であったこと、連戦やメディアの殺到で肉体的にも精神的にも疲れていたことに言及し、しっかりとフォローもしていたのだ。同氏は、このエントリーの最後を「観ているほうは勝手なことが言える・・・今日は悔しくて眠れそうにない 修造より」と締めている。

さて、松岡氏が指摘しているようにメディアの殺到は相当だったようで、取材陣のあまりの多さに大会報道担当者は対応に追われていたのだそう。さらに、18歳の新鋭の大活躍は日本だけでなく錦織選手が拠点としているテニスの本場、米国でも話題を呼んでおり、アンドレ・アガシ選手に並ぶ米国の英雄であるロディック選手と対戦するとあって、地元でもこの試合の注目度はかなり高かった模様。観客席では、錦織選手の名前から「K」と書かれた旗や日の丸を振るファンの姿も見られ、時事通信は「この日のロディック戦で受けた声援は、地元米国のエースを上回っていたようにも感じられた」と報じているのだ。

また、地元紙であるサンノゼ・マーキュリーは、21日付の紙面で「ケイ・フィーバーが過熱(Kei-mania heating up)」と題した記事を掲載し、錦織選手の経歴や日本メディアの過熱ぶりとともに「今週、サンノゼでテニスのイチロー化現象(Ichiroization)が始まる」と紹介。米大リーグ、シアトル・マリナーズのイチロー外野手レベルにはまだ達していないとしながらも、「ニシコリがグランドスラムで準決勝に進出することになれば?」と将来的にイチロー選手並みのスターになることを予想しているのだ。

シアトルとは遠く離れたカリフォルニアながら、サンフランシスコで行われた昨年のオールスター戦に殺到した日本のメディアは相当印象深かったみたい。「Ichiroization」という言葉が造られていることに驚いたのだ。同紙は錦織選手の「Ichiroization」の可能性をやや揶揄気味に報じているのだけど、ロディック選手が警戒するほどの逸材であることは事実。実力で「イチロー化」して、本場の称賛を浴びてほしいのだ。

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