最低映画を決定する第4回「文春きいちご賞」発表、今年はベストも。

2008/02/22 13:59 Written by コジマ

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2月15日に日本アカデミー賞が開かれ、米アカデミー賞授賞式もあと数日で開催。日米ともに賞レースが大詰め迎える中、37人の映画記者・評論家の投票によって最低映画を決定する恒例の「文春きいちご賞」が、2月21日発売の「週刊文春」最新号で発表されたのだ。今年は、ベスト映画を決める「37人が薦める2007年面白かった映画」も登場している。

文春きいちご賞は、米国の最低映画賞、ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)を参考に創設されたもの。アカデミー賞授賞式の前日に発表されるラジー賞、今年はリンジー・ローハン主演のホラー作品「I Know Who Kille Me」が最多9部門、メークアップ部門でオスカーを狙う辻一弘氏が特殊メイクを担当した「マッド・ファット・ワイフ」が8部門にノミネートされている。

一方、同賞を参考に創設された「蛇いちご賞」(スポーツ報知主催)や映画専門誌「映画秘宝」による「HIHOはくさい映画賞」はすでに発表されており、その結果は以下のとおり。「映画秘宝」と「映画芸術」によるワースト10もご紹介するのだ。

◎第4回蛇いちご賞
作品賞 「蒼き狼 〜地果て海尽きるまで〜」
男優賞 田村正和(「ラストラブ」)
女優賞 菊川怜(「蒼き狼 〜地果て海尽きるまで〜」)、長谷川京子(「愛の流刑地」)
新人賞 Ara(「蒼き狼 〜地果て海尽きるまで〜」)、松下奈緒(「未来予想図 〜ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜」)
監督賞 井筒和幸(「パッチギ! LOVE&PEACE」)、松本人志(「大日本人」)
特別賞 沢尻エリカ

◎第1回HIHOはくさい映画賞
最低作品賞 「どろろ」
最低監督賞 行定勲(「遠くの空に消えた」「クローズド・ノート」)
最低主演男優賞 田村正和(「ラストラブ」)
最低主演女優賞 竹内結子(「ミッドナイト イーグル」「クローズド・ノート」)
最低助演男優賞 石黒賢(「未来予想図 〜ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜」「ミッドナイト イーグル」)
最低助演女優賞 もたいまさこ(「めがね」)
最低脚本賞 NAKA雅MURA(「どろろ」「スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ」)
生涯功労賞 角川春樹(「蒼き狼 〜地果て海尽きるまで〜」「椿三十郎」)

◎映画秘宝 トホホ大賞
1位 トランスフォーマー(マイケル・ベイ監督)
2位 恋空(今井夏木監督)
3位 どろろ(塩田明彦監督)
3位 ベクシル2077 日本鎖国(曽利文彦監督)
5位 スパイダーマン3(サム・ライミ監督)
6位 300<スリー・ハンドレッド>(ザック・スナイダー監督)
6位 ディパーテッド(マーティン・スコセッシ監督)
8位 アイ・アム・レジェンド(フランシス・ローレンス監督)
9位 ゴーストライダー(マーク・S・ジョンソン監督)
9位 サイボーグでも大丈夫(パク・チャヌク監督)
9位 ダイハード4.0(レン・ワイズマン監督)
9位 バベル(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督)

◎映画秘宝 読者が選ぶトホホ大賞
1位 大日本人(松本人志監督)
2位 ミッドナイト イーグル(成島出監督)
3位 俺は、君のためにこそ死ににいく(新城卓監督)
4位 どろろ(塩田明彦監督)
5位 蟲師(大友克洋監督)
6位 スパイダーマン3(サム・ライミ監督)
7位 トランスフォーマー(マイケル・ベイ監督)
8位 恋空(今井夏木監督)
9位 ゲゲゲの鬼太郎(本木克英監督)
10位 西遊記(澤田鎌作監督)

◎映画芸術 2007年日本映画ワースト10
1位 大日本人(松本人志監督)
2位 俺は、君のためにこそ死ににいく(新城卓監督)
3位 監督・ばんざい!(北野武監督)
4位 恋空(今井夏木監督)
5位 さくらん(蜷川実花監督)
6位 オリヲン座からの招待状(三枝健起監督)
7位 スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ(三池崇史監督)
8位 遠くの空に消えた(行定勲監督)
8位 どろろ(塩田明彦監督)
10位 蒼き狼 〜地果て海尽きるまで〜(澤井信一郎監督)

共通しているのは、邦画が圧倒的に多いこと。洋画の「最低作品」が少なかったというわけではないので、邦画に対する関心の高さがうかがえるのだ。この傾向は、文春きいちご賞でも同じだった。

さて、今年で4回目を迎えた文春きいちご賞では、蛇いちご賞でも酷評された反町隆史主演の「蒼き狼 〜地果て海尽きるまで〜」が1位を獲得。同誌は、モンゴルの話を日本人が演じるというリアリティーのなさや俳優陣の演技力の低さを挙げ、「興行は大コケというところも救いがない」(週刊文春より)としているのだ。

2位はケータイ小説を映画化した「恋空」。興行収入は39億円を記録し、毎日映画コンクールで日本映画ファン賞を受賞、主演の新垣結衣も日刊スポーツ映画大賞、ブルーリボン賞などで新人賞を獲得しているのだけど、上記の各最低賞でも上位に入っているように、その評価は決して高くないのだ。文春きいちご賞でも、審査員からは批判の嵐。その1人は「なんでこんな想像力ゼロでも観られる薄っぺらなストーリーが受けているのか分からない」(週刊文春より)と困惑している様子なのだ。

3位は、上記2賞で主演男優賞を総ナメにした田村正和の「ラストラブ」(藤田明二監督)。今回は、田村正和の演技よりも設定やストーリーに批判が集まっている。このほか、「愛の流刑地」(4位)や「監督・ばんざい!」(5位)、カンヌ国際映画祭でグランプリを獲得した「殯の森」(河瀬直美監督)も10位に選ばれている。また、洋画で唯一ランクインした「インランド・エンパイア」(デヴィッド・リンチ監督)も10位だった。

今年新設のベスト映画「37人が薦める2007年面白かった映画」では、「パンズ・ラビリンス」(ギレルモ・デル・トロ監督)が1位、マット・デイモン主演の「ボーン・アルティメイタム」(ポール・グリーングラス監督)が2位、「デス・プルーフ in グラインドハウス」(クエンティン・タランティーノ監督)が3位など洋画が上位を占めている。その中で、ヨコハマ映画祭でも絶賛された「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(吉田大八監督)と、ブルーリボン賞作品賞を受賞した「キサラギ」(佐藤祐市監督)が邦画トップの5位だったのだ。

◎第4回文春きいちご賞
1位 蒼き狼 〜地果て海尽きるまで〜(澤井信一郎監督)
2位 恋空(今井夏木監督)
3位 ラストラブ(藤田明二監督)
4位 愛の流刑地(鶴橋康夫監督)
5位 監督・ばんざい!(北野武監督)
6位 どろろ(塩田明彦監督)
7位 西遊記(澤田鎌作監督)
8位 俺は、君のためにこそ死ににいく(新城卓監督)
8位 HERO(鈴木雅之監督)
10位 インランド・エンパイア(デヴィッド・リンチ監督)
10位 殯の森(河瀬直美監督)

◎37人が薦める2007年面白かった映画
1位 パンズ・ラビリンス(ギレルモ・デル・トロ監督)
2位 ボーン・アルティメイタム(ポール・グリーングラス監督)
3位 デス・プルーフ in グラインドハウス(クエンティン・タランティーノ監督)
4位 ブラッド・ダイヤモンド(エドワード・ズウィック監督)
5位 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ(吉田大八監督)
5位 ヘアスプレー(ジョン・ウォーターズ監督)
5位 once ダブリンの街角で(ジョン・カーニー監督)
5位 キサラギ(佐藤祐市監督)
9位 天然コケッコー(山下敦弘監督)
9位 河童のクゥと夏休み(原恵一監督)

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