人気マンガ「弁護士のくず」に盗用疑惑、弁護士が差し止め求める。

2008/02/13 21:42 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


音楽や映像などで後を絶たない「盗用」。それはマンガの世界も同じで、最近でも「マガジンドラゴン」(講談社)に掲載された「メガバカ」の作者・豪村中が盗用を認め、講談社は公式サイトで「お詫び」を掲載したほか、「週刊少年サンデー」(小学館)に連載中の「LOST+BRAIN」(原作:藪野続久、作画:大谷アキラ)にも盗用疑惑がかけられていたのだ。

こうした中で、またもやマンガの盗用疑惑が浮上した。今回、疑惑の対象となっているのは、2003年から「ビッグコミックオリジナル」(小学館)に連載されている「弁護士のくず」(井浦秀夫)。ベテラン漫画家による長期連載作品、しかも06年に豊川悦司主演でドラマ化されたほか、小学館漫画賞(一般向け部門)を受賞している人気マンガなので、なんとも驚きなのだ。

「弁護士のくず」は型破りな弁護士、九頭元人が破天荒な手段で依頼を解決していくというストーリーで、昨年12月からは会社を食い物にする悪徳弁護士との対決を描いた新エピソード「蚕食弁護士」がスタートした。すでに3話が同誌に掲載され、2月20日発売の次号に掲載される4話で完結する予定となっている。

今回、「盗用」が指摘されているのはこの「蚕食弁護士」の内容で、訴えているのは弁護士の内田雅敏氏。同氏が05年に出版した著書「乗っ取り弁護士」(筑摩書房)と登場人物やストーリーが酷似しており、特に悪徳弁護士を解任しようとした会社社長が逆に解任されてしまう部分はそのまま使用されているという。また、「蚕食」という言葉も著書で使っているのだとか。そのため内田氏は、すでに発行された「ビッグコミックオリジナル」と今月20日に発行される次号、さらに「蚕食弁護士」が載った単行本を発行しないよう、東京地裁に仮処分を申し立てたのだ。

内田氏は人権派弁護士として知られており、花岡事件や香港軍票問題などの戦後補償請求裁判、立川反戦ビラ裁判などに取り組んでいる。憲法九条や在日韓国人などに関する著書も多数出版しているのだけど、前出の2作は自身の体験をもとに著したノンフィクション小説となっている。

小学館はNHKの取材に対して「まだ詳細を把握していないのでコメントきないし、いまの時点では井浦さんへの取材にも応じられない」(NHK首都圏ニュースより)としたほか、「作家とも協議して今後の対応を決めたい」(スポーツニッポンより)とコメント。一方、内田氏は「どのような経過で漫画が書かれたのかを明らかにしたい」(産経新聞より)と話している。

内田氏と井浦秀夫は同じ早大卒業生で、井浦秀夫は「行列のできる法律相談所」で有名な北村晴男弁護士(内田氏と同じ早大法学部卒)と高校の同級生。接点は皆無というわけではないのだ。また、北村氏は「弁護士のくず」のファンであり、単行本4巻の帯にコメントを執筆している。北村氏の介入によって、両者が和解する可能性もあるかも。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.