昨年、日本レコード大賞金賞、日本ゴールドディスク大賞邦楽部門アーティスト・オブ・ザ・イヤー、ベストヒット歌謡祭ポップスグランプリなどを受賞し、オリコンチャートのCDトータルセールスで3年連続1位に輝いた倖田來未。今年に入ってからも1月23日にシングル「anytime」(キリンビール「キリンチューハイ氷結」、「music.jp」CM曲)、同30日にアルバム『Kingdom』をリリースし、「anytime」はオリコンデイリーシングルチャート初登場4位を記録した。2008年も絶好調のようなのだ。
相変わらずの人気を誇る倖田來未だけど、その魅力の1つとして、ざっくばらんなキャラクターとともに長い下積み時代を経験した「強さ」が挙げられるのではないだろうか。今回のアルバムも「男性にも負けない女性の力強さ」(エキサイトミュージックより)をコンセプトにしており、こうした部分がおもに女性からの支持を集めているのだ。
ところが先日、ラジオで女性ファンの反感を買うような発言をし、リスナーから批判が殺到するという騒動に発展した。これを受けて2月1日、本人が公式サイトで謝罪をしたのだ。
「問題発言」をしたのは、くりぃむしちゅーの代役でパーソナリティを務めた1月29日放送の「倖田來未のオールナイトニッポン」(ニッポン放送)。マネジャーが結婚したことから、いつ子供を作るかという話になり、その際に「やっぱ、35(歳)ぐらいまわると、お母さんの羊水が腐ってくるんですね(笑)。ちゃう、本当に。いや、例えば汚れてくるんですよね。だから、 できれば35までに子供を作って欲しいなぁって話をね、ちょっとしてたんですけれども」と語った。これにリスナーから苦情が殺到。ネット上でも「自分は35歳にならないつもりなのかな」「発言が下品」といった批判の声が上がっていたのだ。
35歳以上で子供を産むことは「高齢出産」といわれ、35歳未満での出産に比べて妊娠高血圧症候群(旧・妊娠中毒症)や流産・早産、胎児の発育遅延などのリスクが高まるとされている。近年は晩婚化によって高齢出産のケースが増加していることを問題視する声もあるけど、このリスクは35歳を境に急上昇するわけではなく、実際に大半のケースで正常な分娩が行われているのだ。
また、胎児を包む羊水は妊娠前に存在せず、もちろん35歳を過ぎると「腐る」こともない。ただ、卵子は年齢が高まるにつれて老化し、染色体異常などが起こる割合が高まることが指摘されている。倖田來未は、この点を言いたかったのかも。
しかし、公共の場での発言としてやはり相応しいものではなく、倖田來未にとってファンの大半を占める女性の支持を失いかねない「軽口」となってしまった。そのため、2月1日に公式サイトで「先日のニッポン放送『倖田來未のオールナイトニッポン』番組内で、私が発言した内容により、皆様に不快な思いをさせてしまったことを心より深くお詫び申し上げます。」と謝罪。ファンを裏切る結果となったこと、深く反省していることを伝えているのだ。
この謝罪によってネットでは擁護する声も上がってきたのだけど、勢いは止まらず、「問題発言」そのものから倖田來未自身への批判が目立つようになっている。また、放送がアルバム発売直前だったために「宣伝活動ではないか」という意見まで飛び交っているのだ。
せっかくの代役だったのに、ざっくばらんな性格が災いした結果となってしまった倖田來未。これに懲りて今後、ラジオの生放送パーソナリティはやらなくなったりして。