暗い時代を連想させる? スペイン国歌の歌詞候補に批判集中。

2008/01/18 15:20 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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日本には国歌に対する論争が長年に渡って存在しますが、スペインでも今その国歌で大騒ぎになっているのだそうです。

「国王行進曲」(Marcha Real)と呼ばれるこの曲は、ヨーロッパ最古の国歌のひとつで、最初の記録は18世紀(1770年)にまでさかのぼります。えーっと、「君が代」が完成、すなわち以前からあった歌詞に今の旋律が付けられたのは、明治13年(1880年)のこと。ついでにいうと現在のアメリカ国歌も出来た(こちらは詩が完成して、既存した愛唱歌のメロディで歌われることになった年)のが1812年ですから、スペイン国歌の歴史はそれよりも長いのですねぇ。

ただ興味深いのはこの国歌、歌詞がないのです。以前は何度か歌詞付きだった時代もあったのですが、公式には認められておらず、今現在は旋律のみ。じゃあ、オリンピックで金メダルとっても歌えないんですねぇ(笑)。

ところでオリンピックといえば、スペインの首都マドリードが2016年の開催地として立候補しています。で、これをいい機会として、今から国歌に歌詞を付けようじゃないか、という運動が国内で広がったのでした。実際に歌詞制定法案が可決され、国民から歌詞を公募することに。そして、結果として7,000通にも上る応募があったのだそう。

さらに、そこから最終候補にあがったひとつが先日発表されたのですが、これが論争の中心になってしまいました。なんでも歌詞の始まりが、第二次世界大戦前後にスペインでファシズム体制を築き上げた独裁者、フランシス・フランコの時代に使用されていたものと、まったく一緒なのだとか……(汗)。で、この問題の部分である「スペインよ永遠に!」(Viva Espana!)というのは、暗い歴史を思い出させるとして、一部の人々が大反対。

さらにスペイン国内は、バスクやカタルーニャなど、それぞれの歴史文化を尊重する地域に分かれています。その国内の多様性を、この候補歌詞は汲み取っていないという意見もあり、批判は広がるばかり。この問題は当分の間、解決しそうにありません。

……うーん。いっそのこと、もう1回公募し直すってのはどうでしょう? ダメ(汗)?

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