バリー・ボンズ外野手の756号ボール、「注釈付き」で殿堂入り決定。

2007/09/27 23:18 Written by コジマ

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今季、通算762本の米大リーグ本塁打記録を樹立したサンフランシスコ・ジャイアンツのバリー・ボンズ外野手。しかし、成績不振から脱却するためにチーム改造を目指すジャイアンツにとって、この記録達成は衰えが目立つボンズ外野手を手放すよい機会となったようで、9月20日にピーター・マゴワン球団オーナーが戦力外通告を行ったのだ。

本人は22年のメジャー生活の中でも大半を過ごした愛着のあるジャイアンツで引退までを過ごしたかったようだけど、野球を続けたいことからやむを得ず移籍先を探している。移籍先は指名打者のあるア・リーグ球団が濃厚で、イチロー外野手や城島健司捕手のいるシアトル・マリナーズも候補に挙がっているのだとか。

そんなボンズ外野手の行く先以上に注目されていたのが、ハンク・アーロンの記録を破った通算756号本塁打の記念ボール。多くの“ハンター”がひしめくAT&Tパークでこのプラチナボールをキャッチしたのは、ニューヨーク在住の22歳の大学生だった。当初は記念に自分で持っていたいとしたこの大学生だけど、今年5月の段階ですでに1億円を超えるオファーが来ていただけあってその資産価値は膨大。税金を払わなければならないことになってしまったため、やむなくオークションに出品した。なんだか、野球が好きな学生の純粋な気持ちを多くの大人たちが踏みにじった感じがして、なんともやりきれない気分なのだ。

さて、このオークションは9月15日に開かれたのだけど、評価額50万ドル(約5770万円)を上回る75万2467ドル(約8680万円)で落札された(20%の手数料を含む)。落札したのは、出品者と同じニューヨークに住むヒップホップ・ファッションのデザイナーにして億万長者のマーク・エコー氏。しかし、エコー氏は756号ボールを資産とはせず、驚きのプランを発表した。その計画とは、(1)野球殿堂に寄贈する、(2)アスタリスクを刻印して野球殿堂に寄贈する、(3)ロケットで宇宙に持っていき消してしまう―という3つの選択肢を、インターネットの投票によって決定するというもの。いずれも8680万円もした記念ボールを手放すもので、エコー氏の剛毅さとともに出品者の学生がちょっと救われた気がしたのだ。

その結果が9月26日に発表されたのだけど、多くのメジャーファンが選んだのは「アステリスクを刻印して野球殿堂に寄贈する」だった。アスタリスクを刻印は、ボンズ外野手の薬物使用疑惑から注釈付き、つまり「参考記録」を意味する。エコー氏もこれに投票したようだけど、投票者の47%が同意したのだ。刻印の方法などはエコー氏と野球殿堂の職員が話し合うとのことで、公開日などはまだ決まっていないのだそう。

単に「野球殿堂に寄贈する」も34%の人が選んでおり、記念ボールの殿堂入りには80%以上の人が望んだことになる。ジョージ・ブッシュ大統領まで言及した「薬物疑惑記録」だけど、その記念ボールがたとえアスタリスクを付いたとしても野球殿堂に展示されることに、ボンズ外野手もほっとしているのではないだろうか。ちなみに、「宇宙に消してしまう」は19%だったのだ。

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