新球場オープンまでもたない、広島市民球場から“悲鳴”続出。

2007/07/08 16:50 Written by コジマ

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2009年の開幕に合わせてオープン予定のプロ野球、広島東洋カープの新球場。資金の調達元だった米商業デベロッパーのサイモン・プロパティ・グループが撤退したり、設計がなかなか決まらなかったりなど紆余曲折を経たのだけれど、観客定員3万人以上の天然芝オープン(屋根なし)球場となることが決定し、左右非対称(右翼100メートル、左翼101メートル)の設計案を採用。今年10月にも着工する予定なのだ。

新球場は09年のオールスターゲーム開催地にも決定したのだけど、今月20日で完成から50年を迎える現在の広島市民球場が、老朽化によって新球場完成まで待てないほどギリギリの状態で稼動しているようなのだ。

夕刊フジによると、スコアボードにある大ビジョンの使用時間が耐用限度の8000時間を超える1万1000時間以上となっており、7月6日の横浜戦(雨天中止)では、警報器が鳴り止まずに修理業者に依頼したのだそう。これは一例に過ぎず、ほぼ毎試合業者を呼んでいる状態で、この大ビジョンを長時間利用するさだまさしの平和祈念コンサート「2007 夏 広島から」(8月9日開催)に向けて、職員は戦々恐々なのだとか。

04年には、当時広島に在籍していたグレッグ・ラロッカ内野手(現オリックス)が打撃練習時にスコアボードへ打球を直撃させ、その部分が3週間以上も表示されなかったというエピソードがあるのだけど(このことなどから05年に発光ダイオード式に改装)、32年連続で黒字を計上しているとはいえど、こうしたことからも広島の資金難が浮き彫りとなっているのだ。

それだけでなく、下水管の老朽化によって大雨が降ると球場内では至るところで雨漏りが発生し、トイレの汚水がロッカールームへ流れ込むというハプニングも。さらには、78年から交換していないところもあるスタンドの座席は打球が当たるだけで簡単に壊れ、3連戦が行われるたびに30〜40席が破損するという始末。職員たちの並々ならぬ苦労がうかがえるのだ。

新球場の建設が決まってしまった以上、大規模な改修が行えないため、こうした努力は09年3月の閉鎖まで続く予定。職員の労力もさることながら、年間修理費も2000万円以下から3000万円以上となってしまったことを考えると、新球場の建設計画が遅れてしまった影響が色濃く出ていることが分かる。戦後から陰に日向に広島を支え続けてきた広島市民球場、阪神ファン以上に熱狂的なことで知られている広島のファンだけど、あと1年半はこのおじいちゃん球場に優しく接してあげてほしいのだ。

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