広島が32年連続の黒字、観客・放映収入減もグッズ販売が補填。

2007/02/22 21:17 Written by コジマ

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原爆により深い傷を受けた市民の希望として、1950年(正確には49年末)に日本で唯一の市民球団として誕生した広島。近年は9年連続でBクラスと成績は振るわないけど、阪神同様、熱狂的なファンに支えられている球団なのだ。

しかし、“市民球団”であるがゆえに、これまで資金面の苦労は並大抵のものではなかった。51年には、深刻な経営状態から球団解散の危機を迎えたこともあったのだ。この時に奔走したファン8人を中心とした市民の動きを、NHKの「プロジェクトX」で「熱き心、炎のごとく 史上最大の集金作戦 広島カープ」と題して取り上げられたので、ご存じの方も多いのではないだろうか。

解散の危機を乗り越えたものの、企業の後ろ盾のない広島はこの後もたびたび資金難に見舞われ、65年に東洋工業(現マツダ)が筆頭スポンサーにあった後も他球団に比べて細々と運営していたのだ。広島ファンの友人は「いまのプロ野球は金がないと強くなれないよ。お宅(阪神)はバカスカ金を使えていいねえ」なんて皮肉交じりに嘆いていたし。資金の問題から、フリーエージェント(FA)選手の獲得も行ってないし、ドラフトの自由枠での選手獲得も消極的。これではたしかに大幅な戦力補強ができないのだ。

ところが、そんな広島の経営が32年連続で黒字となっていることが明らかになったのだ。05年度と比べて観客数が約4万人減、放送権料収入は18.4%減という厳しい状態だったのだけど、グッズ販売の好調によりプラスとなったみたい。そういえば、「ブラウン語録カレンダー」が7万5000部を完売したなんてニュースもあったのだ。

広島は、日本球界初となるアカデミーをドミニカ共和国に設立したり、2軍の社会人野球大会出場、“ボールドッグ”の導入など、他球団が行っていないことに取り組んでいる。そうした試みとFA選手を獲得しない、FA権を行使した時球団の選手を引き留めないなどの努力が実った結果の黒字と言えるのだ。

しかし、ホームグランドである広島市民球場の老朽化に伴う新球場建設があるため、喜んでばかりもいられない。今年はファンクラブも設立し、球団幹部は入場料収入増に本腰を入れるみたいだけど、FA選手や自由枠選手を獲得できるようになるのは、まだまだ先みたいなのだ。

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