ヤンキース・井川慶投手が1A降格、日本流調整法で再起をかける。

2007/05/08 17:17 Written by コジマ

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移籍1年目から先発投手として夢の舞台に挑戦しているニューヨーク・ヤンキースの井川慶投手。中継ぎへの降格も、4月29日のボストン・レッドソックス戦での大活躍ですぐにローテーションに復帰したのは、Narinari.comでもお伝えしたとおり。ところが、5月5日の先発復帰最初の試合では、4回で被本塁打3を含む失点8とメジャー移籍後最悪の結果を出してしまった。

ランディ・ジョンソン投手の移籍に加え、開幕にエースの王建民投手を欠き、マイク・ムシーナ投手も早々に故障者リスト入り。ジェフ・カーステンス投手も骨折したほか、右ひじ痛で戦列を離れているカール・パバーノ投手の回復も遅れるなど、先発投手事情の苦しいヤンキースだけど、井川投手の不振にジョー・トーリ監督も我慢の限界。ついにマイナーへの降格を言い渡されてしまったのだ。

降格の理由について、トーリ監督は「安定感の問題。球はいい。詳しくは言えないが、リリースポイントを安定させるためにフォーム矯正の必要があるということ」(スポーツニッポンより)とし、ブライアン・キャッシュマンGMは「イガワは確かにメジャーで投げる能力があるが、いまは結果が出ていない。特に制球力に一貫性がないから、タンパで調整させる」(MAJOR.JPより)と説明している。

「1年間ローテーションを守ること」を目標にしていた井川投手、中継ぎ降格と違って今回はすぐに先発復帰できるわけではない。さぞや落ち込んでいるかと思いきや、「結果をみれば、仕方のないこと。結果を出せなければ下に出されるというのは分かっていた。これまで悪いピッチングをたくさんしてきたので、何とかしたいなという思いだったんですが、このままこっちにいても良くなる要素がなかった。2軍落ちは2005年にも経験があるし、ショックはないですね。むしろ、ちょうどいい機会だと思います」(ZAKZAKより)と、いつものような飄々とした態度で日米の記者の質問に答えている。

キャンプから米国流の調整法を試してきた井川投手だけど、それが良い結果を生まなかったことから、1Aでは「日本でやってきた投げ込み、走り込みをする。こうなったら自分のやりたいようにしたい。しっかり自分の調整法をつくりたい」(スポーツニッポンより)としている。このことについてはレッドソックスの松坂大輔投手も苦しんでおり、日本人先発投手にとってメジャーにおける数々の制限は調整に少なからず影響を及ぼすようなのだ。そう考えると、野茂英雄投手はすごかったんだなあ。

調整先は3Aでも2Aでもなく、1A。日本でいうところの“4軍”で、元阪神のエースの大降格に驚いた阪神ファンも多いと思うのだ。しかし、松井秀喜外野手が「先発投手が調子の悪いときタンパへ行くのはたまにあるし、そんなに深刻なことではない」と語っているように、集中して調整するためやマイナーチームの選手構成・スケジュールなどを考えて1Aに行くのは珍しいことではないみたい。

今回の降格は無期限だけど、キャッシュマンGMも「準備ができたらマイナーで調整登板させて、メジャーに戻すことを考えている」としており、スポーツニッポンは「再合流は早くて2週間後か」と予想している。しっかりと日本流の調整を行い、再昇格後は破竹の活躍を見せてほしいのだ。

だけど、王建民投手が6日の復帰第2戦で8回1/3まで完全投球し、同日に「ロケット」ことロジャー・クレメンス投手がヤンキースと再契約。クレメンス投手は5月末〜6月上旬にメジャー登録が予想されており、これでパバーノ投手が復帰して今回3Aから昇格したマット・ディサルボ投手が活躍すれば、井川投手の入るすき間がなくなってしまいそう……。

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