CDが売れないのは曲が長いから? “47秒・着うた専門曲”の必要性。

2007/04/10 16:15 Written by コジマ

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ピークだった1998年から毎年低下し続けているCDの売り上げ。昨年は、国内有料音楽配信の売り上げがシングルCDの生産実績を上回った。音楽配信が上昇することは音楽業界にとってありがたいことではあるのだけど、どうやら作り手と聴き手の間で乖離が生じているようなのだ。その辺の事情を、音楽配信サイト「mF247」を運営する「に・よん・なな・みゅーじっく」の代表取締役、丸山茂雄氏がITmediaに語っているのだけど、興味深い内容なのでご紹介するのだ。打開策は“47秒・着うた専用曲”なのだそう。

丸山氏は、CDの売り上げ低迷の理由として、「昔の曲に比べると1曲がやたら長くて、印象に残るのはサビだけ」という最近のミュージシャンの傾向を挙げ、それがいまのリスナーの需要にマッチしていないと分析している。つまり、聴き手はサビだけを手軽に手に入れたがっているというのだ。たしかに、サビだけを配信する着うたはここ数年で人気コンテンツに成長しており、昨年は482億400万円の売り上げを計上した。

そのため、丸山氏は“47秒・着うた専用曲”を配信するモバイルサイト「47(ヨンナナ)」をオープンした。現在ある既成の曲のサビ部分を切り取って配信するものではなく、ミュージシャンに47秒の曲を作ってもらい、着うたとして配信するという新たな試みなのだ。

丸山氏が言う「昔の曲」とは60〜70年代の洋楽で、Aメロ、Bメロのみの3分未満で終わる曲のことを指しているのだけど、現在の日本の音楽は4〜5分の曲が全盛。こうした傾向を他人のマネをするクリエイティブでない人、「詞の才能もないのに」書いているため長くなるとバッサリ斬っている。「着うたのヒットは長くダレた曲へのリスナーの拒絶反応」という考えは、たしかに的を射ているのだ。

洋楽では、グリーン・デイの“ロック・オペラ”は別として最近の曲は3分前後が主流となっているのだけど、1990年代はレディオヘッドやオアシスなど長い曲が多かった。その辺の影響を受けたミュージシャンが、いまの日本の音楽シーンを担っているせいなのかもしれない。

ただ、丸山氏は決していまの市場を歓迎しているわけでなく、「お金をかけて高音質でレコーディングしているから、ユーザーにも高音質なCDで、ジャケットも見てもらって楽しんで欲しいと思っている」のだけど、「次の音楽メディアが何になるかという答えは、レコード業界が決めたんじゃなくてユーザーが決めた。だったらそのメディアに音楽を載せるしかないじゃない」としているのだ。「ユーザーは簡単に聴けるほうがいいし、技術もそっちにどんどん向かっている。ウォークマン、iPod、携帯と、基本的に音はどんどん悪くなっていっている。でもユーザーがそれがいいというんだから、仕方ない」。いまの状態をよしとしなくても、商売人としてはその傾向に乗らざるを得ないということなのだろう。

短い曲が良くて長い曲が悪いというわけでは決してないのだけど、CD離れは短くできる曲をわざわざ長くするような質の低下が最大の原因なのだろう。ぼくも曲を作ることがあるので作り手のダラダラと長くしたい(いつまでも演奏したい)気持ちもよく分かるのだけど、商業音楽の世界に身を置く以上、世の中の多くの人が求めている短いキャッチーな曲を作ることも必要なのかも。ビートルズの「アイ・ウォント・ユー」が一般に広く受け入れられるとは思えないし。

ほかにも興味深いことを語っているので、気になる人はぜひご一読を。でも、47秒の曲ばっかりになっても寂しいなあ。

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