20〜40代会社員が「新入社員に薦めたい本」、1位は「三国志」。

2007/04/07 10:45 Written by コジマ

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真新しいスーツに身を包んだ会社員をよく見かける4月、いまの時期はまだまだ緊張している新入社員も多いと思う。先日も電車に乗っていたら、上司の話に対していちいち「はい!」と元気のよい声で返事している新入社員とおぼしき人がいて、その上司が周りを気にしながら「うん、元気がいいのはよいことだけど、軍隊じゃないんだからね」と苦笑していた。こんなシーンが見られるのも、4月ならではなのだ。

そんな新入社員に向けて、20〜40代の会社員が「薦めたい1冊」をオリコンが調査した。さまざまな意見が飛び交う中、最も多く推薦されたのは、ビジネス書としての評価も高い「三国志」だったのだ。

オリコンによると、「三国志」を勧める理由として「人との付き合いなど、昔の知恵が満載だから」(愛知県/30代/男性)、「広く人間関係を円滑にする要素が含まれている」(埼玉県/40代/女性)などの意見が多数寄せられたのだそう。

人と人のつながりを大切にした劉備を主人公としている「三国志演義」や吉川英治の作品を指しているのだろうけど、たしかにそこに描かれている人物たちは理想的な人間性を持っている場合が多い。劉備は言うに及ばず、最後まで一臣として振る舞った孔明や義理と人情の間で苦悩した徐庶、職人的で日本人の気質に合った趙雲など、多少の脚色はあるにせよ、まさに人間の鏡のような人々なのだ。

また、増長した董卓や、呂布・魏延などの裏切り者がたどった末路、非常に魅力的でありながら、部下に厳しすぎて裏切られた張飛や、傲岸不遜な態度で自身だけでなく国を存亡の危機に立たせてしまった関羽と、参考になる人間模様は枚挙にいとまがないのだ。この2人が清廉潔白だった趙雲よりも人気があることも興味深いし。ただ、曹操を参考にして「われ人に負(そむ)くとも、人のわれに負くことなからしめん(たとえ私が人を裏切っても、人が私を裏切ることは決して許さない)」なんて部下が育ったら困るけど(笑)。

2位は、「竜馬がゆく」「街道をゆく」などの「司馬遼太郎の本」。「人間として成長できる本だから」(大阪府/40代/男性)、「日本人の特性が見えてくる、国際人としての第一歩になる」(愛知県/40代/男性)などの意見が寄せられている。このほか、明治期の近代化する日本を取り上げた「坂の上の雲」や、吉田松陰と高杉晋作を描いた「世に棲む日々」、究極のアンチヒーローである土方歳三の生き様を伝えてくれた「燃えよ剣」などなど、魅力的な作品が本当に多いのだ。司馬遼太郎と交流があった台湾人、蔡焜燦の「台湾人と日本精神(リップンチェンシン)」も面白かったなあ。

以下、3位が「マナー本」で、「松下幸之助の本」、「P・F・ドラッカーの本」、「山崎豊子の『沈まぬ太陽』」、「島田洋七の『佐賀のがばいばあちゃん』」が同率で4位だったのだ。

人に小説を勧めるとき、司馬遼太郎の作品だと「へー、読んでみようかな」と言ってくれる人が多いのだけど、大好きな藤沢周平を勧めると、たいていの返答が「うーん」というもの。表面上はあまり参考にならなそうだからかなあ。隆慶一郎の「一夢庵風流記」なんて、鼻で笑われちゃうことが多いのだ。漫画(「花の慶次−雲のかなたに−」)より面白いのに……。


☆新入社員に薦めたい本(オリコン調べ)

1. 三国志
2. 司馬遼太郎の本(「竜馬がゆく」「街道をゆく」など)
3. マナー本
4. 松下幸之助の本(「社員心得帖」など)
4. P・F・ドラッカーの本(「マネジメント−課題・責任・実践」など)
4. 「沈まぬ太陽」 山崎豊子
4. 「佐賀のがばいばあちゃん」 島田洋七

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