タワーレコードと並ぶ外資系大手レコード販売店として、現在、日本で65店舗を展開しているHMV。広く落ち着いた雰囲気の店内と洋楽、特に英資本ならではのUKミュージシャンに関する特集が多いことがファンにとってはうれしい限り。クラシックやワールドミュージックの充実も人気となっているのだ。
そのHMVの英本社が、日本での事業展開の見直しを発表した。6月をめどに方針を決定するそうで、売却・撤退も視野に入れているというから驚きなのだ。
最近はネット販売や音楽配信に押され気味になっている実店舗によるCD販売だけど、昨年8〜10月には米タワーレコードが破産・廃業が決定。日本は02年からNTTドコモが筆頭株主になって独立しているので影響はなかったものの、HMVも04年に米国事業から撤退。米国では、ネット販売・音楽配信だけでなく、ウォルマートやスターバックスなどでもCDを販売しているため、音楽専門の実店舗販売はかなり厳しいようなのだ。
今回、HMVのサイモン・フォックス社長によると、日本でのシェアは3位でたったの8%。利益は出ているそうだけど、海外事業のうちカナダ、香港、シンガポールではトップなだけに、日本での伸び悩みは見過ごせない状況にあるようなのだ。
HMVは、日本での音楽配信事業を昨年10月に開始したばかり。ネームバリューや店舗展開を考えても、他の企業が撤退を指をくわえて見過ごすことは考えにくいので、よい値が付き次第売却する可能性が高そうなのだ。タワレコがドコモだから、HMVはauやソフトバンクが買い取ったりして。
最近はヴァージン・メガストアーズの閉店も相次いでおり、音楽ソフト販売の実店舗が減るのはファンとして悲しいこと。なんとか維持をして欲しいのだ。HMV渋谷店で公開放送しているJ-WAVEの番組「
GROOVE LINE」の行く末もちょっと心配。それと、たまりにたまっているポイントカードがどうなるかも……。
ちなみに、HMVは「His Master's Voice」の略。日本ビクターで使われている蓄音機を聴く犬(ニッパー)のマークに入ったキャッチコピーと同様で、元をたどるとHMVも日本ビクターも同じ起源の企業なのだ。