バルセロナ最後の闘牛場が閉鎖、原因は動物愛護でなく観客減。

2007/01/24 23:57 Written by コジマ

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スペインといえば、フラメンコやマリアッチ(ギター弾き)などとともに思い浮かぶのが闘牛。スペインではどの街にも闘牛場があり、命をかけて牛と果敢に闘うマタドールの凛々しい姿は子供たちの憧れでもあったのだ。

その一方、牛を虐待するという動物愛護的な観点から批判の対象になっているのも事実。文化として捉えるのか、公衆の面前での虐待と捉えるのか、意見が分かれるところなのだ。

そんな中、近年はサッカーで注目されているバルセロナで、世界遺産サグラダ・ファミリア近くにあるバルセロナ唯一の闘牛場が、来季からの興行を打ち切られることとなった。原因は動物愛護団体などの抗議によるものではなく、観客数が激減して興行が成り立たなくなったことだというから驚いたのだ。

バルセロナのあるカタルーニャ地方は南部のアンダルシア地方に比べて闘牛が盛んではなく、「カタルーニャとスペインは別の国」という地域としてのナショナリズムが強いため、スペイン文化の象徴である闘牛に対してアンチ派が多いそうなのだ。カタルーニャ州議会では動物愛護をタテマエに「外来文化」である闘牛の廃止法案を検討し、バルセロナ市議会は「反闘牛都市」を名乗るなど、もともと闘牛に対して否定的な土地だったみたい。

それだけでなく、近年はスペイン全体的に闘牛の人気が落ちているそうで、24歳以下の若者で闘牛に関心があるのはたった17%。もはや闘牛士は子供たちの憧れの職業ではなくなったのかもしれない。

バルセロナ市が管理するこの闘牛場は、蚤の市などに利用する計画となっているようだけど、カタルーニャ地方の気質を知らず「スペイン=闘牛」というぼくのようなイメージを持っている人にとって、バルセロナを観光で訪れたときに闘牛が見られないのはちょっとさびしいかも。ちなみに、カタルーニャ地方の名物である牛追い競技は、「カタルーニャ固有の文化」として支持されているそうなのだ。

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