検知器無反応でも運転は危険、飲酒3時間後も緊張感は低下傾向。

2006/10/04 23:57 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


今年8月に福岡市で起きた飲酒運転による幼児3人死亡事故。この事件でクローズアップされて以来、連日報道されるようになった飲酒運転逮捕者を見るたびに、世の中で飲酒運転がいかにはびこっているかが分かるのだ。こうした状況から、アサヒビールが広告やCMで「飲酒運転は法律で禁止されています」という一文を掲載するようになったのは先月お伝えしたとおり。こうした啓発は、多方面で行ったほうが効果があるのだ。

そんななか、同じ酒造メーカーである菊正宗酒造が3日、飲酒に関する調査を発表したのだ。調査は、30〜50歳代の同社研究員の男女10人を対象に、昼食時に本人が酔ったと感じるまで日本酒を1合半〜4合を飲ませたそうなのだ。うーん、会社内で昼に堂々とお酒が飲めるなんて、うらやましい実験……。飲酒前と飲酒直後、30分後、1時間後、2時間後、3時間後の6段階で気分の変化を調べた。

その結果、本人が酔いが醒めたと感じ、道交法で酒気帯び運転の基準値である呼気1リットル当たりのアルコールが0.15グラムを下回っていた3時間後でも、緊張感や活気を示す数値が飲酒前よりも低下したままで、逆に疲労感を示す数値が上昇していたそうなのだ。

アルコールの代謝スピードは個人差があるものの、一般的に体重60〜70キロの人で1時間に7グラムのアルコールを処理できるという(サントリー公式サイトより)。今回調査に用いられた日本酒は、1合に約23グラムのアルコールが含まれており(ビール大瓶1本またはウイスキーのダブルとだいたい同じ)、1合半では代謝に約5時間、4合だと約13時間かかる計算になるのだ。

それでも3時間後には呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15グラムを下回っていたのには驚いたけど、「このアルコール量なら運転できない」という問題ではなく、たとえお酒を飲んでいなくても体調が低下しているときは判断が鈍りがち。酔いが醒めたと思っても、お酒を飲んだらしばらくは運転しないに限るのだ。

同社の嘉納毅人社長は「メーカーではあるが、飲酒運転を根絶したいとの思いからあえて公表した」(産経新聞より)と述べている。一連の飲酒運転事故によって酒造メーカーへの風当たりが強くなっているこの頃だけど、批判を逸らすためとはいえ、こうした努力は素直に評価したいのだ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.