180万円盗まれた被害女性の雇い主逮捕、決め手はチョビひげ。

2006/06/07 23:28 Written by コジマ

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和歌山市のクラブでダンサーとして働く中国人女性の自宅に保管していたお金が、5日夕〜6日早朝の間に盗まれた。時間帯からいって勤務中だったのだろう。金額は180万円。女性が一生懸命働いて貯めた大切なお金だ。しかしこの事件は、犯行が行われてから間もなくの6日、あっけなく解決した。犯人はなんと、女性が働く店の経営者だったのだ。逮捕の決め手はチョビひげ。いったいどんなカラクリがあったのだろうか。

この女性は、窃盗の容疑で逮捕された経営者の店でダンサーとして働いていた。給料は手渡しで、銀行には預けずに従業員寮であるマンションの自室でスーツケースに入れて保管していたのだ。金額は積もりに積もって180万円に達していた。そしてこの女性、「働いて貯めた大切なお金」と、1万円札の肖像画である福沢諭吉の口元にサインペンでチョビひげを書いていたのだ。

6日早朝に女性が仕事を終えると、いつも通り経営者が給料を渡してきた。印をつけるほど大切なお金、この瞬間は至福のひとときだろう。しかし、受け取った1万円札を見て女性は愕然とした。福沢諭吉にチョビひげが生えてるではないか。急いで帰宅して確認すると、案の定スーツケースは“もぬけの殻”。すぐさま110番し、経営者は窃盗の容疑で逮捕されたのだ。

この経営者は容疑を否定しているようだけど、警察が所有している車を調べたところ、“チョビひげ諭吉”を含む現金百数十万円が見つかったそうなのだ。うーん、実行犯でないにしろ、今回の窃盗に関与していたのは明らかなのだ。それにしても、盗んだお金を本人に給料として渡すなんて、度胸があるというか何というか……。女性はチョビひげを書いておいてよかったのだ。

被害を受けずに済んだのはよいのだけれど、彼女を助けたチョビひげは、厳密にいうと法律に引っかかる可能性があるのだ。貨幣損傷等取締法によると、「貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない。」「第一項又は前項の規定に違反した者は、これを一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。」とあるのだけれど、これは硬貨の場合。しかし、紙幣でも故意に落書きして使用したら通貨偽造罪にあたる恐れがあるそうなのだ。「行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。 」というから、めちゃくちゃ罪が重い。この通貨偽造罪は変造紙幣を「拾得」して「行使」した経営者のほうも適用され、こちらは「三年以下の懲役」となっているのだ。まあ、窃盗容疑で逮捕されているからそれどころじゃないだろうけど。逮捕されている例はないだろうけど、ちょっと落書きしただけで無期懲役の可能性もあるなんて、ちょっと怖いのだ。

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