可愛さと不思議さで静かな人気の楽器「マトリョミン」とは。

2006/05/26 22:56 Written by コジマ

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世に星の数ほどある楽器のなかでもひときわ異彩を放っているのが、ロシア生まれの楽器「テルミン」。鍵盤や弦などが一切なく、箱から突き出ている2本のアンテナに手をかざして演奏するというもので、1920年に物理学者でありチェリストでもあるレフ・セルゲイヴィッチ・テルミンによって発明された世界最古の電子楽器なのだ。このテルミンと、入れ子構造になっているロシアの人形、マトリョーシカを組み合わせた楽器の「マトリョミン」が静かな人気になっているのだとか。

不思議な楽器のテルミンは、その独特の音色のため映画のUFOの音などさまざまなサウンドエフェクトとして利用されてきた。手をかざす位置によって音階が変わるため、演奏法を習得するのがとても難しいといわれており、この楽器からシンセサイザーが生まれたのは有名な話。93年には開発者のテルミン博士を題材にした映画「テルミン」(スティーヴン・M・マーティン監督)が公開されたのだけれど、その知名度が上がることはなかったようなのだ。

マトリョミンはそのテルミンとマトリョーシカという“ロシア生まれ”同士を掛け合わせたものだけれど、開発したのは日本のテルミン奏者である竹内正実さんが代表を務めるマンダリンエレクトロン(愛知県)。同社のサイトにある写真を見ると、どっからどう見ても単なるマトリョーシカにしか見えない。しかし、このなかにテルミンと同じものが入っており、テルミンと同じように手をかざす位置によって音階が変わるのだ。同サイトでは演奏ビデオも視聴でき、ウクレレに合わせて「ラブ・ミー・テンダー」を奏でるマトリョミンの音を確認できる。うーん、まるで口でうなっているような不思議な音色なのだ。

おもちゃのような見た目とは違って、テルミンの基本的な演奏法を習得した人なら同じように演奏できるという本格的もの。さらに、きちんとした演奏法の習得は難しいながら、管楽器のように音自体を出すことが困難というわけではなく、見た目の可愛さと不思議な音色もあいまって人気がじわじわと上昇しているのだそう。うーん、置物としても可愛いのだ。

同社のサイトでの通信販売以外にも、「食とギャラリーコライユ」(東京都港区)や「Gato」(名古屋市)、「カフェ・シーズプラス」(大阪市)などの雑貨店でも購入可能(取り扱い店はこちらを参照)。値段は3万3600〜6万3000円(税込)と少々張るものの、弦楽器や管楽器と違って手軽に演奏できインテリアとしても活躍するので、普通の楽器に飽きた人にはもってこいなのだ。また、マンダリンエレクトロンは全国で講習会や演奏教室、練習会を開いており、マトリョミンの貸し出しもしているので、触れてみたい人はまずはそこから始めてもよいかもしれない。

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