小さな本屋店主の推薦リスト「中学生はこれを読め!」が全国に。

2006/05/06 23:30 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


最近の中学生は本を読まないそう。いや、ぼくが中学生だったころから周りで本を読む人は少なく、女の子のなかには漫画ですら「読み方が分からないから読まない」と、全く活字に触れない人までいたのだ。近年は、インターネットの普及も相まって出版物全体の売り上げが落ち込んでいる。そんななか、札幌市の小さな本屋の店主が、「本屋のオヤジのおせっかい 中学生はこれを読め!」と題した中学生向けのコーナーを作り、持ち帰れる推薦リストも作成した。これが大好評で、噂を聞きつけた大型チェーン店もキャンペーンに参加するなど、全国に波及しているそうなのだ。

この試みを始めたのは、札幌市西区で「くすみ書房」を経営する久住邦晴さん。コーナーには久住さんが選んだ「中学生に読ませたい500冊」が陳列され、推薦本を説明する小さなカードやポスター、リストは手作りで、推薦本には共通の帯を巻いて分かりやすくしている。公式サイトの2005年のリストを見てみると、夏目漱石、太宰治、宮沢賢治、西遊記、三国志、サン=テグジュペリの「星の王子様」などの定番のほか、石田衣良の「池袋ウエストゲートパーク」や金城一紀の「フライ,ダディ,フライ」、村上龍の「13歳のハローワーク」といった新しい作品、さらには手塚治虫の「火の鳥」といった漫画もリストに加えられている。選考の基準は、「自分が読んで面白かった本」で、本好きの母親たちの意見も取り入れているのだとか。

この「中学生はこれを読め!」のコーナーは、中学生はもちろんのこと、それ以上に親や教師、そして書店関係者に好評だそう。親や教師から「おすすめは?」と聞かれることが多いという。そうした際、久住さんは、子供の性別や読書量を聞いたうえで選んでいるそうなのだ。書店関係者には初め口コミで広がり、現在では北海道では60店、静岡県では130店、愛知県では約100店(10月から)がこのキャンペーンに参加することとなった。これに伴って、帯やPOP、ポスターなどが手作りではなくきちんと印刷されたものが作られたのだ。

久住さんは「これをきっかけに、児童書と一般書の中間のジャンルが定着してほしい」(朝日新聞より)と語っている。本屋の一店主が始めた試みが全国に広がっているのは、とても興味深いことなのだ。何かと暗い話題が多い出版界、次代を担う中学生への“おせっかい”が、いろんな意味で未来への光明となればいいなあ。ちなみに、推薦リストは今夏、北海道新聞社が小冊子にして出版する予定だそう。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.