「子供増やさない」が日本で半数以上、欧州との意識に差。

2006/04/28 16:42 Written by コジマ

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少子化が先進国の間で問題となっているけど、昨年の内閣府の調査によると、日本の出生数は前年から1万3000人減少、合計特殊出生率(女性1人が一生に産む子供の数)も1.29と共に過去最低を記録し、世界でも有数の「超少子化国」となっているのだ。そんななか、内閣府が5カ国を対象に実施した「少子化社会に関する国際意識調査」で、日本の子供を持つ男女のうち半数以上が「今よりも子供を増やさない」と答えており、「希望数になるまで子供を増やしたい」という男女が5割前後の欧米との意識差が明らかになった。

調査は、少子化対策の参考にするため、昨年10〜12月に日本、韓国、米国、フランス、スウェーデンの20〜49歳の男女約1000人ずつを対象に行われた。フランスとスウェーデンを対象国としたのは、日米同様、少子化が問題となっている欧州のなかでも合計特殊出生率が回復傾向にあるためだとか。韓国は隣国として対比するためなのだ。ちなみに各国の合計特殊出生率(03年)は、日本1.29、韓国1.16、米国2.04、フランス1.89、スウェーデン1.71となっている。

「欲しい子供の数」は各国とも「2人」が最も多く、「3人」がそれに次いだ。この希望子供数に満たない人に対して「さらに子供を増やしたいか」という質問をしたところ、「今よりも子供は増やさない」と答えた割合が、日本で53.1%、韓国で52.5%にものぼり、「希望数になるまで子供を増やしたい」という回答が多数を占める米国(62.5%)やフランス(49.9%)、スウェーデン(69.1%)との差がはっきりと出たのだ。増やしたくない理由については、日本と韓国で「お金がかかる」が5〜7割だったのに対し、フランスとスウェーデンは「高年齢」「健康上の理由」が上位を占めたそう。

どの国も2人以上欲しい人が多いなか、日本と韓国では子育てにかかる経済的負担がネックとなっているようなのだ。毎日新聞によると、内閣府は「この3カ国(米、仏、スウェーデン)は保育サービスの充実や税制上の優遇措置が優れているほか、子育てへの金銭的支援もあり、出生率に影響しているのではないか」と指摘しているそうで、分かってるなら早くそういう対策をとればいいのに……。

こうしたことも影響し、「自分の国が子供を産み育てやすい環境か」という質問に対して、日本は「とてもそう思う」「どちらかといえばそう思う」という肯定的な意見が合計で48%、韓国では19%にとどまっている。少子化対策が進んでいる米、仏、スウェーデンでそれぞれ78%、68%、98%だったことを、政府はしっかりと受け止めてほしいのだ。

育児における役割分担でも日韓と欧米3カ国の意識の違いが目立ち、日韓が「もっぱら妻が行う」「主に妻が行う」の合計が7割だったのに対し、米仏で4割、スウェーデンでは9割が「妻も夫も同じように行う」と答えている。日韓では育児に対する女性の負担が個人の意識のなかでも大きいことが浮き彫りになったのだけれど、これに関しては企業の制度や姿勢、雰囲気も影響しているのではないだろうか。また、「3歳までは保育所を利用せずに母親が世話するべきだ」という意見に対して、日韓は7〜8割が「賛成」だったが、スウェーデンでは7割弱が「反対」だった。

日本の出生数は4年連続で減少しており、05年上半期に初めて死亡数が出生数を上回ったことから、内閣府では今年から総人口が減少すると予測している。一方で高齢化にも歯止めがかからず、晩婚化に伴い出産年齢も上昇している。小泉首相もこいのぼりを眺めて嘆息している場合ではなく、優遇制度や保育サービスの充実に力をそそいでほしいのだ。

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