新人アークティック・モンキーズが3冠の快挙、NWEアワード発表。

2006/02/26 15:57 Written by コジマ

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一般投票が結果を大きく左右する英国の大衆的音楽賞であるNMEアワードの受賞式が23日(日本時間24日)、ロンドンのハマースミス・アポロで開催され、デビューアルバム『ホワットエヴァー・ピープル・セイ・アイ・アム・ザッツ・ホワット・アイム・ノット』が英国のチャートで4週連続1位を獲得している驚異の新人、アークティック・モンキーズが、最優秀ブリティッシュ・バンド賞、最優秀新人賞、最優秀トラック賞(「アイ・ベット・ユー・ルック・グッド・オン・ザ・ダンス・フロア」)の3賞を受賞したのだ。今回も最多6部門(ウェブサイト部門を合わせると7部門)にノミネートされたカイザー・チーフスは、最優秀アルバム賞(『エンプロイメント』)を受賞するだけにとどまった。ノミネートはこちらを参照。

NMEアワードは英国で最も生の声を反映する賞ともいわれているだけに、この音楽賞で受賞できるミュージシャンは音楽好きの大衆に支持されている実感を持つことができるのだ。グラミー賞やブリット・アワードを受賞し、音楽業界から愛されているコールドプレイやジェームス・ブラントがノミネートされていない(ワースト・カテゴリーにはノミネート)ことからも、英国の大衆の意見が反映されていることがうかがえる。こうしたコンセプトを持った賞なので、NMEの受賞者はグラミーやブリッツとは違った栄誉にあずかれるのだけれど、今年の大衆は、まだあどけなさが残るシェフィールド出身の4人組を選んだのだ。

アークティック・モンキーズは、「2006年のブリット・アワードは間違いなく彼らが獲得するだろう」というオアシスのノエル・ギャラガーの言葉通り、今年のブリッツで最優秀新人賞を獲得。NMEアワードでは同賞の看板である最優秀ブリティッシュ・バンド部門を含め、4部門にノミネートされていたのだけれど、最優秀新人部門以外はオアシス、ブロック・パーティー、フランツ・フェルディナンド、カイザー・チーフス、グリーン・デイ、ベイビー・シャンブルズと、超強力なバンドばかり。残念ながら最優秀ライブ・バンド部門では、日本でも武道館公演をはじめ最高のステージを見せたフランツ・フェルディナンドにかなわなかったものの、他の部門では上記のツワモノたちを抑えて受賞したのだ。ちなみに、最優秀ブリティッシュ・バンド賞と最優秀新人賞を同時受賞するのはNMEアワード史上初との快挙なのだとか。

ブリット・アワードで3部門制覇し、NMEアワードでも最多6部門にノミネートされていたカイザー・チーフスは、オアシス(『ドント・ビリーヴ・ザ・トゥルース』)やフランツ・フェルディナンド(『ユー・クッド・ハヴ・イット・ソー・マッチ・ベター』)、ブロック・パーティー(『サイレント・アラーム』)、ベイビー・シャンブルズ(『ダウン・イン・アルビオン』)を退けて、『エンプロイメント』が最優秀アルバム賞を獲得した。この部門だと、完成度の高さは2005年発売のアルバムのなかでピカ一なのに評価の低い、ブロック・パーティーの『サイレント・アラーム』に受賞してほしかったなあ。

「アークティック・モンキーズがいなければ、カイザー・チーフスはもっと受賞しただろう」とNME誌の編集者が述べているように、カイザー・チーフスは結局、アークティック・モンキーズと競合した部門では1つも取れなかったのだ。ブリット・アワードのインタビューで「アークティック・モンキーズは好き?」と訊かれた際、フロントマンのリッキー・ウィルソンが「あー……。う、うん、そうだね」と歯切れ悪く返事していたことが思い出される。ちなみに、リッキーはベスト・ドレッサー賞を受賞している。

最優秀インターナショナル・バンド賞は、グリーン・デイやフー・ファイターズらを退けて、1月にサードアルバム『ファースト・インプレッション・オブ・アース』をリリースしたばかりのストロークスが選ばれた。まあ、いつまでもグリーン・デイを引っ張る他の賞に疑問を呈していたので、すっきりしたのだ。また、最優秀ソロ・アーティスト賞はカニエ・ウェストが受賞している。

そのほか、NMEアワードの話題部門である年間ヒーロー賞とセクシーな男性賞はベイビー・シャンブルズのピート・ドハーティが、年間悪人賞は自国の元首であるトニー・ブレア首相を退けてジョージ・ブッシュ米大統領が、ワースト・ドレッサー賞はザ・ダークネスのジャスティン・ホーキンスが、ワースト・アルバム賞はジェームス・ブラントの『バック・トゥ・ベッドラム』、ワースト・バンドはサン・オブ・ドークが、セクシーな女性賞はマドンナがそれぞれ受賞している。

それにしても、アークティック・モンキーズの人気はすごい。2004〜05にかけてデビューし、英国から世界を席巻したフランツ・フェルディナンドやカイザー・チーフス、ブロック・パーティー、カサビアン、レイザーライト、ベイビー・シャンブルズなどのバンドがかすんでしまっている。NME誌の「オアシス以来のこの国で最大のバンドになるだろう」という予言通りの道を、確実に歩んでるのだ。その“以来”といわれているオアシスが最優秀ビデオ賞しか受賞できなかったことには不満が残るけど……。


☆受賞者リスト

●最優秀ブリティッシュ・バンド賞(Best British Band)
アークティック・モンキーズ

●最優秀インターナショナル・バンド賞(Best International Band)
ザ・ストロークス

●最優秀ソロ・アーティスト賞(Best Solo Artist)
カニエ・ウェスト

●最優秀新人バンド賞(Best New Band)
アークティック・モンキーズ

●最優秀ライブ・バンド賞(Best Live Band)
フランツ・フェルディナンド

●最優秀アルバム賞(Best Album)
『エンプロイメント』 カイザー・チーフス

●最優秀トラック賞(Best Track)
「アイ・ベット・ユー・ルック・グッド・オン・ザ・ダンスフロア」 アークティック・モンキーズ

●最優秀ビデオ賞(Best Video)
「ジ・インポータンス・オブ・ビーイング・アイドル」 オアシス

●最優秀ミュージックDVD賞(Best Music DVD)
「Live 8」

●最優秀イベント賞(Best Event)
カーリング・ウィークエンド リーディング・アンド・リーズ・フェスティバル

●最優秀テレビ番組賞(Best TV Show)
「Gonzo」(MTV2)

●最優秀ラジオ・パーソナリティー賞(Best Radio Show)
ゼイン・ロウ(BBCラジオ1)

●最優秀映画賞(Best Film)
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」(マイク・ニューウェル監督)

●最優秀ウェブサイト賞(Best Website)
NME.COM(NME公式サイト)

●最優秀会場賞(Best Venue)
カーリング・ブリクストン・アカデミー(ロンドン)

●年間ヒーロー賞(Hero Of The Year)
ピート・ドハーティ(ベイビー・シャンブルズ)

●年間悪人賞(Villain Of The Year)
ジョージ・ブッシュ(米大統領)

●ベスト・ドレッサー賞(Best Dressed)
リッキー・ウィルソン(カイザー・チーフス)

●ワースト・ドレッサー賞(Worst Dressed)
ジャスティン・ホーキンス(ザ・ダークネス)

●ワースト・アルバム賞(Worst Album)
『バック・トゥ・ベッドラム』 ジェームス・ブラント

●ワースト・バンド賞(Worst Band)
サン・オブ・ドーク

●セクシーな男性賞(Sexiest Man)
ピート・ドハーティ(ベイビー・シャンブルズ)

●セクシーな女性賞(Sexiest Woman)
マドンナ

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