恋愛中の脳はどのように変化? 米誌が科学的に解説。

2006/02/20 10:51 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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先日のこと。掲載される写真が美しい科学誌として日本でも有名な「ナショナル・ジオグラフィック」の2006年2月号を読んでいると、特集で「『愛』を追求する」という記事が載っていました。これは最近の研究を元に、恋愛中の脳内には一体どんな変化が起こっているのか、科学的に説明しようとするもの。例えば人を好きになるとどうして精神的に不安定になり、さらに体調の変化まで感じることがあるのか。最近は恋愛中の脳内の化学変化を調べることによって、そのメカニズムを解明しようとする研究が進められているそうです。

さてそのいわゆる「恋煩い」。イタリアはピサ大学のドナテッラ・マラツィッティ教授は、恋の病は精神病のひとつである「強迫性障害」(Obsessive-Compulsive Disorder -OCD-)と症状が似ていることに着目。過去6ヶ月に熱愛を経験したことのあるグループ、OCDの患者グループ、そしてそのどちらも持ち合わせていないグループ、と3種類のカテゴリ分けをしてそれぞれの人々の血液検査を実施しました。

その結果、脳内で形成されるセロトニンと呼ばれる化学物質の一種が、恋煩い組とOCD組では通常よりも40%ほど減少していることが判明。OCDはこのセロトニンのバランスが崩れることで引き起こされるといわれており、熱愛状態にある人々も一時的ながら、この精神障害のような状態になってしまう可能性があるとのこと。なるほど、昔から "Lovesickness" という言葉が表現するとおり、恋ってやまいなんですねぇ……。

もうひとつ、同記事で面白かったのが恋愛とドーパミンの関係。ドーパミンも脳内で作られる物質のひとつなのですが、いわゆる興奮を引き起こすホルモンとしても有名です。恋をするとこの物質を作る箇所が刺激されるそうで、心臓がドキドキしだすのもこれに関係があるとか。ところでこのドーパミン、恋に落ちる以外のことでも分泌されるそうで、例えば激しい運動や、または普段体験できないような斬新奇抜なことに遭遇しても同様に形成されてしまうとか。そしてこのようにドーパミンが大量に作用しているシチュエーションに偶然誰かと一緒にいた場合、その興奮状態が「恋に落ちる」感情と似通っているため、本当にその相手が好きになってしまったと錯覚することもありえるワケです。

そういえばアクション映画では、最初は見知らぬ男女が突如襲ってきた天災だの事故だのに立ち向かっている内に、いつの間にか惹かれ合って……なんてストーリーが多いですね。これも実はドーパミンの魔法にかかった現象として、科学的に説明できることなんです。

さてここまで極端なケースでなくても、この脳内物質作用、実はデートの作戦として使えるのです。気になる相手を遊園地に誘い、ジェットコースターに一緒に乗せてみましょう。これは普段経験できないスリルを味わうことで、ドーパミンを放出させるのに効果的。そしてこの時一番身近にいるアナタとこの興奮状態を味わうことで、相手はそのドキドキがアナタのことが好きなせいだと「錯覚」するかもしれません。その後に告白するなり、もう一度デートに誘ってみるなりしましょう。成功率は高いハズですよ。

この「ナショナル・ジオグラフィック」の記事は同誌の日本版でもお読みになれるので、ご興味のある方はぜひご覧になってみてくださいませ。

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