肥満のニューヨーカー、60%が自覚なし。

2005/11/25 09:02 Written by コジマ

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現在、成人の60%が過体重(太り過ぎ)もしくは肥満といわれている米国人。健康意識の高そうな都市部の生活者でも50%を超えている。22日に発表されたニューヨーク市保健・精神衛生局の調査によると、同市に住む肥満者約100万人(同市の人口は約800万人)のうち61%が自信のことを肥満と自覚していないことがわかったのだ。

同調査は2002〜03年に電話によるアンケート方式で行われたのだけれど、その結果、肥満者のうち39%が「きわめて過体重」と答えているものの、42%が「やや過体重」、16%が「適正体重」、1%が「やややせている」と答え、2%は「やせ過ぎ」としているのだ。肥満度の分け方はBMI(ボディー・マス・インデックス)と呼ばれる体格指数によって行われ、体重(キログラム)÷身長(メートル)の二乗によって算出される。BMI 30以上が「肥満」、25以上30未満が「過体重」、18.5以上25未満が「適正体重」、18.5未満が「やせ」とされており、22が最も病気になりにく状態といわれている。今回の調査対象は、BMI 30以上の「肥満」の人。ちなみに日本では2000年に基準が変更され、やせ〜適正体重は従来通りなものの「過体重」の表記が廃止され、BMI 25以上30未満を1度肥満、30以上35未満を2度肥満、35以上40未満を3度肥満、40以上を4度肥満としているのだ。

米国人成人の肥満者は、1980年以降10年間で約50%のペースで増え続けている。肥満は糖尿病や心臓病、脳卒中など、命にかかわる病気になりやすい状態であり、研究者の間では「癌以上の短命化の要因になる可能性がある」と警告されている。事実、年間30万人が肥満に関連する病気で死んでいるのだ。また、未成年者の間でも肥満率は増加しており、子供の糖尿病患者も異常なほど増えているのだ。この肥満に一番有効なのが定期的な運動(1日20分以上の有酸素運動)なのだけれど、これについても75%の人が行っていないと答えている。自分の体重を過小評価している人が60%もいるのだから、この数字は妥当なものかも。肥満の解消は、まずは自覚することから始めなければならないかもしれない。

米国人の高肥満率の原因として、食事量の多さが挙げられるのだ。どこのレストランでも日本人にとってはうんざりするほどの量が出るのだけれど、消費者もそれを望んでおり、外食する際の選択基準として時間・利便性に次いで値ごろ感、種類の多さを挙げている。この条件を満たすところとなると、やはり、映画「スーパーサイズ・ミー」で悪名高いファストフード店になってしまうのだけれど、ファストフードは消費者のニーズに応え続けた結果にできたものであるという側面も否めないのだ。また、睡眠時間の不足も肥満の原因の一つとして挙げられている。多様化した生活による慢性的な時間不足が、肥満に影響してるといえるのだ。

対岸の火事と思うことなかれ、最近は日本でも欧米化された食事や運動不足などから肥満者が増え続け、20歳代男性の4人に1人、30歳代男性の2.5人に1人が新基準による「肥満」とされているのだ。

また、BMIでは筋肉量などで体重が多い人も「肥満」とされてしまうため、最近ではさまざまな病気の前段階とされるメタボリックシンドローム(代謝症候群)が注目されているのだ。この診断基準の一つに挙げられている腹囲(ウエスト周囲径)は、肥満のなかでも最悪の内臓脂肪型肥満を発見するのに役立つ。いわゆる“りんご型肥満”の人は、手軽なので一度腹囲を測ってみるのもよいかもしれない。どんな病気も早期発見と自覚が治癒への最良の道なのだ。


☆メタボリックシンドローム診断基準(8学会合同)

ウエスト周囲径(腹囲)
男性85cm以上
女性90cm以上
(男女とも内臓脂肪面積100平方cmに相当)

上記に加え、以下のうち2項目
・中性脂肪150mg/dL以上 かつ/または HDLコレステロール40mg/dL未満
・収縮期血圧(いわゆる“上”)130mmHg以上 かつ/または 拡張期血圧(いわゆる“下”)85mmHg以上
・空腹時血糖値110mg/dL以上

※「かつ/または」とは、「どちらか一方でも両方でも」という意味

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