セントルイス市内にある「どっきり」ビルボード広告とは。

2005/10/20 11:34 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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セントルイスにあるビルボード関連のニュースといえば、以前「ラジオのDJ、カージナルスの地区優勝の願掛けのためにビルボード上で生活……」というのをnarinari.comご紹介しましたっけ。 これは 「FM 101.1 ザ・リバー」というラジオ局のおふざけコンビ、ヴィック・ポーセリとトリッシュ・ガゼルの2人が、カージナルスのマジック・ナンバーが "0" になるまで約一週間、ビルボードの上に寝袋とラジオ機材を持ち込んで寝起きしたというお笑い(?)話でした。一見おバカなことをマジメに取り組む彼らには、セントルイス中が暖かいまなざしを注いだものです(笑)。

ところが今回紹介するビルボード方は、逆にセントルイス市民から冷たいまなざしを向けられているのです。セントルイス市内を走るハイウェイ70から望むことが出来るこの広告は、数週間前からそこに掲げられているのですが、そこにはなんと

"Suicide, Homicide, Death Cleaning. Bio Cleaning Services of America"
(「自殺、殺人、死後の清掃。アメリカ・バイオ清掃サービス」)

と書かれているのです。

カンサス・シティーを拠点にするこの会社、全米に65ほどあるという「死体発見場所」専門の清掃サービス企業なのです。殺人などで血みどろの死体が見付かった現場……。事件捜査のために警察がやってきて現場検証をしますよね。その後は普通、警察が後片付けをしてくれるんだと思いますが、実はそうではないんだとか。なんとその家屋なり土地なりの持ち主が、自前で清掃しなければいけないんだそうです。例えば誰かが殺されたり自殺したその跡を、傷ついた家族がそこに留まって掃除しなければならない……なんて切ない状況になるワケです。そんな時、その清掃を代行してくれるのがこれらのサービス会社なのです。

しかしこういった「人の死」に関連したビジネスを、なにもビルボード広告で宣伝しなくても……と、セントルイス市民は批判的です。実際、この会社に苦情の電話もかかってきているとか。このビルボード広告の真下でガソリン・スタンドを経営するサムさんは、

「犯罪を利用して金儲けをしているようなモノじゃないか」

と眉を潜めています。

一方で、このビルボードが度重なる犯罪を野放しにしている警察への、市民からの不満の意思表示になると、歓迎する人も。モノは見ようですね。

ちなみに同社はこの種のビルボードを今までにもミズーリ州内に掲げてきたそうですが、非難の声はあってもほとんど撤去したことはないのだとか。ただ、一度だけ自主的に広告を取り外したことあるそうで、その時は父親を殺されたばかりの小学生が通う学校からこの看板が丸見えだったため、さすがに気がとがめたのだそうです。それなりに良心はあった模様。


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