大自然のなかの音楽フェスティバル、フジロックを体感 その4。

2005/08/06 11:13 Written by コジマ

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日本最大の音楽フェスティバル「FUJI ROCK FESTIVAL'05」の1日目(7月29日)に行ってきたので、そのレポートをお届けしているのだ。この日のタイムテーブルはこちら。そして、会場の地図はこちら。一緒に開きながら読むと、臨場感がわきます。

では、続きをどうぞ。

ザ・ポーグスのステージで期待以上の興奮を味わったぼくは、この日のヘッドライナーであるフー・ファイターズの演奏がすでに始まっているGREEN STAGEへ向かう……はずだったのだけれど、ポーグスで興奮しすぎたのか、いきなり道を間違えて正反対のFIELD OF HEAVENやORANGE COURTへと向かうBOAD WALKを歩き始める。半分くらいまで来たところで道を間違えたことに気づいたのだけれど、悲しいことに、この道は一方通行なのだ。この時点で21時40分。21時半から始まっているフー・ファイターズのステージは23時までやる予定なので、FIELD OF HEAVENからAVALON、WHITE STAGEを経てGREEN STAGEへ向かっても十分間に合うのだけれど、22時20分から始まる忌野清志郎&NICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNSのステージを観るためにWHITE STAGEへ戻ってくるつもりだったので、フー・ファイターズはあきらめてのんびり散歩することに決めたのだ。

BOAD WALKは、林のなかを木づくりの道が突っ切っているのだけど、ミラーボールに照明が当てられて林中に光がちりばめられていたり光るオブジェが飾られていたりと、とても幻想的だったのだ。そして、FIELD OF HEAVENはすごい数のロウソクや雰囲気よい屋台、ステージではROVOという機械を使わないトランス・バンド(日本人)が演奏していて、さらに夢のような世界。ここらでないと売っていないヘンプ・ビール(濃厚で激ウマ!)を飲みながら、ヘンナ・タトゥーをしてくれるテントなどをのぞいていたのだけれど、この一帯、なんかダウナーな人が多いような……。うーん、あんまり長居すると負のエネルギーをもらっちゃいそうなので、ガラガラのORANGE COURTをちょっとのぞいてすぐにWHITE STAGEへと戻ったのだ。

WHITE STAGEでは、開始20分前&フー・ファイターズが演奏中にもかかわらず、大勢の人が。むむむ、さすが今年芸能生活35周年を迎える日本ロック界の“GOD”の人気はすごいのだ。それでもポーグスのときよりも前を陣取って“GOD”の降臨を待つ。時間ちょうどにNICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNSが登場。あれ? あ、あの、シャーロット・ハザレイと同じオレンジのテレキャスを持っているギタリストは、み、三宅伸治ではないか! NICE MIDDLEに入ってるとは知らなかったのだ。清志郎だけでなく三宅伸治とも仲がいいザ・ハイロウズの甲本ヒロトが、フジロック恒例の飛び入り参加する確率が高まったのだ!

清志郎の登場を今か今かと待つお客さんを、司会が煽って引っ張る。そしてついに、ド派手な衣装を身にまとった“GOD”が苗場に降臨。「フジロック・ベイベ〜!!」といきなりのハイテンションに、バンドも観客も1曲目から爆発的にノリまくり。そして絶妙な演出とMC。一言一言で観客が盛り上がる。“GOD”のステージを観るのは初めてなのだけれど、この人、ライブがうまい! ヒロシの真似で「キヨシです。娘に『コンサートって仕事なの?』と訊かれたとです。キヨシです。最近、息子が口をきいてくれんとです。キヨシです、キヨシです……」とふざけたと思ったら、「トランジスタ・ラジオ」や「スローバラード」などの大ヒット曲でビシッとキメる。もちろん、自らもぬらりひょん役で出演している映画「妖怪大戦争」(三池崇史監督)の宣伝も忘れずに、主題歌「愛を謳おう」も披露。

「オレがデビューしたとき、ベトナムで戦争をしていたんだ。あれから35年。世の中は何も変わっちゃいないぜ!」
「オレはその35年間、『イェーイ!』とか言い続けてきたんだぜえ! ザマーミロ!」
「みんなノリがいいなあ! そんな熱いヤツらに、一つだけ訊きたいことがあるんだ」
「―(ためにためて)愛し合ってるかーい!! イェーイって言えー!!」
観客全員がピースサインを振りかざして「イェーイ!」と応える。そして始まる「Baby何もかも」。

力尽きてうずくまる“GOD”。マントや布団を掛けられるけど、三宅伸治が煽る「GOD! GOD! GOD!」の掛け声で復活。いやあ、ホント、まるでミュージカルや芝居を観ているような楽しい気分になったのだ。さらに、「雨上がりの夜空に」が始まり、会場中が大合唱。「イェーイ」のコールに老若男女が入り混じって腕を高々と挙げ応える。ここまでの一体感は、清志郎以外では味わえないんじゃないかな。そして、NICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNS(ギター:三宅伸治、キーボード:厚美玲衣、ベース:中村キタロー、ドラム:宮川剛、アルトサックス:梅津和時、テナーサックス:片山広明、トランペット:渡辺隆雄)の演奏がめちゃくちゃ巧くてかっちょいい! 三宅伸治はジミ・ヘンドリックスばりの歯弾きや背面弾き、ピート・タウンゼントばりのウィンドミル奏法を披露。渋さ知らズでも活躍する片山広明をはじめとするNEW BLUE DAY HORNSも、“GOD”に負けじとステージを飛び回っていたのだ。

「ありがとう。愛してます」とステージを去る“GOD”。2時間以上経過していたので「もうないかな?」と思ったけど、もっと聴きたい、もっと観たいという気持ちが会場全体を包み、アンコールを求める大合唱が始まる。そして再び降臨。客席に紅白の巨大な風船が投げ込まれ、演奏されたのは「JUMP」。観客の手から手へ送られていく風船が跳ね、清志郎のジャンプとともにお客さんもみんなジャンプ! 何度も何度もジャンプ! 右の人も左の人も、前の人も後ろの人も、360度みんな笑っている。こんな幸せな気持ちになったのは初めてなのだ。そう思うと、涙が出てきてしまった。一人なのに(笑)。ヒロトの飛び入りはなかったけど、十分、最高のステージだったのだ。

友達との集合場所に向かう途中、この感動を一人で噛みしめながら苗場食堂前に到着すると、フー・ファイターズが終わってからそこでずっと待っていてくれた3人が「どうしたんだ ヘイヘイベイビ〜♪」といきなり歌ってきた。「なんだ、WHITE STAGE行ったの?」と訊くと、OASISエリアで中継されていたそうなのだ。「いや〜コジマ、あれは観にいって正解だったね」「フー・ファイもよかったけど、あっちもよさそうだったなあ」なんて言われて、ちょっと嬉しかったのだ。しかし、ご飯を食べながら「あの〜、あのね、このあと0時45分からですね、元ブルーハーツの梶くんと元ハイロウズの白井さんのザ・ビック・ヒップというバンドがですね、ここ苗場食堂でですね……」と言うと、とてもいや〜な顔をしてきた。どうやらフー・ファイターズを観たあと、カメラマンのS氏の友人である赤犬のステージで盛り上がって疲れたそうなのだ。一人でタクシーに乗る経済力がなかったので泣く泣くあきらめて帰り、ぼくのフジロックは終了したのだ。

ところが数日後にインターネットを見ていると、ザ・ビック・ヒップのステージに飛び入りでザ・ハイロウズの真島昌利が出演したことが判明! しかも客席にはベーシストの調先人もいたのだとか。ハンカチを歯で引っ張って「キーッ!」のポーズをするくらい悔しかったのだ。ああ、あのときもうちょっと強引に誘っとけばよかった……。

おわり

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