6月の中ごろから8月の終りの間、米TV業界は人気シリーズのドラマなどがこぞって「夏休み」となります。なのでこの時期は比較的低予算の短期エンタメ番組が多く放映される時期。
そのほとんどがあまり注目もされず、いわゆる「出ては消えていく」番組なのですが、それでも時々人気が出て話題になるモノも。そして今年の夏に高視聴率を獲得したのが ABCネットワークの "Dancing with Stars" というリアリティ・ショーでした。
これは踊りには比較的初心者のスター達が、プロのダンサーと組んで社交ダンスのコンペティションに参戦するというもの。スターと呼ばれても、そこは低予算番組。一応名前や顔は知っていても、ドラマの脇役だったりする人々です(笑)。で彼らが毎週、視聴者の投票で勝ち進んで行き、最終的に残った1カップルが優勝するという、いわゆる普通のリアリティ番組でした。
ところが、これが何故かこの夏一番の大ヒットに。参加者の「スター」も、意外なところで注目を浴びて嬉しい悲鳴となったそうです。社交ダンスといえば、今までこれといった爆発的ブームがあったワケではありません。数年前にGAPのコマーシャルでも話題になったスウィング・ダンスが流行しましたが、社交ダンスはやっぱり「古典」的なイメージです。しかしそれが米エンタメ番組のひとつとして、立派に成功したのは制作者側にとっても驚きだったかもしれません。
ところで、アメリカでは最近もうひとつの社交ダンス関連で話題のものが。ドキュメンタリー映画の "Mad Hot Ballroom" です。NYの公立学校では、授業の一環として社交ダンスが取り入れられているそうですが、この映画はその子供たちが社交ダンスに触れどう成長していくか……という過程を追ったもの。驚きなのが、10歳そこそこの小学生たちが恐ろしいぐらい上達して、大人顔負けのダンスを披露するところです。指先まで神経が行き届き、目線までバッチリ。ひぇえええ。
それにしても、先日narinari.comでもご紹介した
「マーダーボール」、そして
「皇帝ペンギン」と、今年の米映画界はドキュメンタリー部門が本当に注目されていますねぇ。
ところで、まだあまり世間的には日常的でない社交ダンスですが、ちょっとした例外が。欧米では結婚前のカップルが個人レッスンを取るのが珍しくないんです。なぜかというと、こちらの結婚式の披露宴ではバンドを雇い、食事の後にダンス・パーティをするのが一般的。そこで新婚の2人が、夫婦として始めての踊りを披露するという余興が組まれていて、この晴れの舞台に見事なステップを!と事前から高いレッスン代を払って準備する人が多いのです。
ただ、こういう事に燃えるのは花嫁の方。花婿の男性はどちらかというと女性に命令されて、嫌々ダンス教室に通う……というのがほとんどだそうです。なんだか最初から夫婦の力関係が決まっちゃってますねぇ(笑)。