米国で話題のドキュメンタリー映画「マーダーボール」とは。

2005/07/22 12:05 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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(このコラムには映画のネタバレが含まれている可能性があります、ご注意下さい)

"Quad Rugby"(クアド・ラグビー)という聞きなれない言葉をご存知ですか?クアドというのは "quadriplegia" という言葉を短くしたもので、「四肢麻痺」または「頸髄(けいずい)損傷」を意味します。クアド・ラグビーとは、そういった身体障害を持つ人々が車椅子で行うラグビーのことなのです。

このゲームは1チーム4人制で、バスケットボールの室内コートを利用して戦います。しかし車椅子だから、プレーするのが障害者だから、このスポーツが安全を極めた競技だと思ったら大違い。試合は選手同士のタックルが続き、そのスピードといい勢いといい、トレーニングを積んでいない一般人がその場にいたら大怪我は避けられないそうです。もちろん車椅子も衝突のインパクトを避けるために、特別メタル仕様。

その過激さからクアド・ラグビーは別名 "Murderball"(殺人球技)とも呼ばれており、まだ認知度は少ないものの、立派なエンターテイメント・スポーツとして、一部でコアなファンを持っているそうです。

さて、このクアド・ラグビーをテーマにしたドキュメンタリー映画が最近アメリカでは話題になっています。その名も「マーダーボール」。障害者スポーツという従来のイメージを持ってこの映画を観ると、その予想外の過激さにまるで横っ面をガツンと殴られたように感じるのだとか。しかも登場するのはその競技以上に、これまたアグレッシブな性格プレーヤーたちです。

特にクローズ・アップされているのが選手の1人、ケビン・カヴィル氏。あご髭、刺青といったかなりイケてる青年です。ニュージャージー出身の彼は、子供のころからモータークロス、スノーボード、アイスホッケーなどハイテンションなスポーツが大好きでした。しかし2003年のバイク事故で頸髄損傷を患った直後は、大好きなスポーツも出来ず、自殺を考えるほど落ち込んだそうです。でもクアド・ラグビーに出会ってからはこの競技にのめり込み、週3日のセラピーやその他のリハビリ治療の合間をぬって練習に励んでいるとか。

スポーツの映画が作られると、必ずといっていいほどそのスポーツが人気になります。クアド・ラグビーも今までほとんど知る人のいなかった競技ですが、これからポピュラーになっていくのかも知れませんね。

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