読者のさとやまさんから、こんなメールをいただきました。「僕はマンガオタクではないので、有名なマンガでも読んだこと無いものが多いです。マンガは好きなのですけど、読む時間がなくて。だからこの企画は嬉しいんです。これからも楽しみにしてます」。有り難うございます。そう言っていただけると何より。できるだけ有名な作品、ちょっとマイナーな作品、男性&女性が普段読まないような作品を織り交ぜながら、少しずつ紹介していくことにします。それでは今日も5作品、見ていくことにしましょう。(文・編集 Narinari.com編集部)
【山田玲司 「アガペイズ」】
「山田玲司の『アガペイズ』は名作です。内容はゲイが風水で野球する話です(笑)。かなり濃くて、好き嫌いハッキリ別れますがオススメです。」(じゅうべえさん)「Bバージン」などのヒット作を持つ山田玲司ですが、1999年まで「ヤングサンデー」(小学館)に連載されていた「アガペイズ」もファンに支持されている作品。そのストーリーはじゅうべえさんが説明してくれているように、「ゲイが風水で野球する話」としか表現できません(笑)。山田玲司の作品は絵やセリフ回しに癖があるため、好き嫌いがハッキリと分かれますが、一度ハマってしまうとすべての作品を読みたくなる衝動に駆られるマンガ家です。現在「ヤングサンデー」に連載されているインタビューマンガ「絶望に効く薬」もなかなか考えさせられる内容なので、機会があればそちらもぜひ。
【ふくやまけいこ 「サイゴーさんの幸せ」】
「過去数度にわたって再販&文庫化等されている良作の『サイゴーさんの幸せ(ふくやまけいこ)』。東京上野を舞台に繰り広げられる不思議な物語。ラストの展開は大団円にもかかわらず切ない感覚は秀逸。ジブリにアニメ化して欲しい作品かも。」(オススメ漫画さん)
「オススメ漫画といえば、まずはここで挙げた『サイゴーさんの幸せ』(ふくやまけいこ著)。田中芳樹に『こんな作品は彼女をおいて誰が描けるのだろう』と絶賛されているお墨付き。昭和末期の下町で起こるあったかいミステリーです。」(むぎーさん)1990年まで「ウィングス」(新書館)に連載されていたふくやまけいこの「サイゴーさんの幸せ」。東京・上野の西郷さんの銅像が動き出し、騒動に巻き込まれていく……という、やや荒唐無稽なストーリーながら、随所で涙を誘う演出が秀逸、というのが専らの評判です。作者のふくやまけいこはほかに「東京物語」などの代表作がありますが、現在は「ポケットモンスター」の関連書籍の執筆などでも活躍しています。
【羅川真里茂 「赤ちゃんと僕」】
「羅川まりもの『赤ちゃんと僕』をおすすめします。心にぎゅっ、とくるような話がたくさんあります。ウサギや犬の話は忘れられません。心が暖まります。」(ぽぽさん)「花とゆめ」(白泉社)に連載されていた人気作品。1996年にはテレビ東京系でアニメ化もされています。全体的には男性が子育てをする場合のバイブル的な内容となっていますが、女性視点から描かれた「男性に求めるモノ」が凝縮されており、男性が読むとやや歯がゆく感じるところがあるかもしれません。ただ、雰囲気は終始ほんわかとしているため、心が暖まることは間違いないでしょう。
【今井神 「NEEDLESS」】
「マイナーな漫画かもしれませんが、『ニードレス』って漫画が面白いですよ。第3次世界大戦の日本、戦争中に落とされた爆弾により廃墟となった汚染区域を人々は隔離しました。そこはブラックスポットと呼ばれ、人が住める環境ではありませんでしたが、それでも生き延びる人たちがいたのです。しかも、その者たちは特殊な能力を持っています。人々はその力を『フラグメント』と呼び、その能力者のことをこう言いました。不要者(ニードレスと。」(クロさん)「ウルトラジャンプ」(集英社)に連載されている近未来SF作品で、ストーリーはくろさんが詳しく説明してくれた通り。露出の高い美少女キャラクターによる、特殊能力を駆使したバトルが見どころとなっています。また、全体にギャグが散りばめられており、「戦争後」をテーマにしたSF作品にありがちな暗さはありません。作者の今井神は、1980年生まれの若手。今後の活躍も期待されるマンガ家です。
【中山昌亮(画)・真刈信二(作) 「オフィス北極星」】
「『オフィス北極星』中山昌亮画/真刈信二作。アメリカの訴訟社会を日本人リスクコンサルタントを主人公に描いた作品。まず絵、躍動感溢れ、個性的なキャラクターが映画を見ているを錯覚するくらい動いているように感じます。登場する全キャラがプライドをもって生きていて、人の数だけ正義がある事を強く感じます。会話の一つ一つもウィットにとんでいて面白い。最も好きなエピソードは『ドクターアラモ』『マグロの曲線美』」(Gさん)短期集中連載のスタイルで「モーニング」(講談社)に10年間連載されていた「オフィス北極星」。主人公の時田強士(通称ゴー)は10年間勤めていた保険会社を退職し、ニューヨークでリスクマネジメントのコンサルティングを手がける「オフィス・ノーススター(北極星)」を開業し、さまざまな困難に対峙していく物語です。ビジネスを題材にしたマンガはたくさんありますが、アメリカの訴訟社会を扱った作品は珍しいのでは。シリアスなテーマですが、料理の仕方が実に上手い作品です。
(つづく)