次世代DVD(デジタル多用途ディスク)の規格をめぐって覇権を争っている電機業界。ワーナーブラザースなど米映画大手4社が、東芝やNECが推進する「HD DVD」の支持を表明したのだ。ハリウッドの支持取り付けではソニー、松下電器産業など9社が推進する「ブルーレイディスク(BD)」陣営がリードしていたのだけれど、米国内のDVD販売シェアで計44.6%を占める4社の“エール”に、BD陣営は戦々恐々なのだ。
支持を表明したのは、タイムワーナー傘下のワーナーブラザース、ニューラインシネマと、ユニバーサル・ピクチャーズ、パラマウント・ピクチャーズの4社。「2つの次世代規格を評価した結果、技術とビジネスの両面でHD DVDが最も高い能力を持つと判断した」(ワーナー)などとする声明を発表したのだ。DVD規格のシェア争いには米映画会社が多大に影響するといわれているなか、4社は米国内のDVD販売シェアで計44.6%を占めており、ハリウッドの映画資産の3割以上を押さえるソニー傘下のソニー・ピクチャーズとMGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)を擁するBD側(20世紀フォックスも参加を表明)と拮抗する形となったのだ。
ソニーや松下電器産業、シャープ、日立製作所、サムスン電子、デル、ヒューレット・パッカード、TDKなどが推進し、すでに製品化している規格「BD(Blu-ray Disc)」は、波長の短い青紫色レーザーを採用し、記録容量は最大27GB、データ転送レートは36Mbps。現在のDVD規格との互換性のなさがネックになっているのだ。
一方、「HD DVD(High Definition DVD)」は東芝やNEC、三洋電機、メモリーテックなどが推進。再生プレーヤーは来年後半に発売する見通しで、こちらも青紫色レーザーを採用、読み出し専用の「HD DVD-ROM」規格では片面単層で15GB、2層で30GB、書き換え可能型規格では片面単層20GB、2層で40GB(書き換え可能型は予定)で、データ転送レートはBDと同じく36Mbps。こちらは現行のDVD規格との高い互換性があり、その辺がワーナーなどの支持を取り付けた理由になっているようなのだ。
また、家電メーカーや映画会社など世界で200社以上(日本国内80社以上)が加盟している、DVDの規格制定や普及に向けた広報活動を行う業界団体「DVDフォーラム」は、2003年11月に「HD DVD」を読み取り専用機として策定しているのだ(書き換え可能機は現在審議中)。
最大手ひとつであるディズニーがまだ態度を決めておらず、どちらに付くのかが注目の的となっているのだけれど、消費者としては、早くこの趨勢が決まってくれないと困っちゃうのだ。ビデオ規格VHS・ベータマックスの二の舞にならないことを祈るばかり。つーか、みんな買い換えるのかなあ。どうかなあ。